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夢は座席で安楽死。

観る→考える→想う→書く。

【デスミュ】『ifの世界観』という考え

デスミュ 【※】ネタバレ

Twitterで呟いていたもののまとめなおし
※作中のネタバレ含みます。



今回の公演で思うところはあれど嫌だった!と思うところが無いのはかなり大きな収穫でそれがなんでかっていうと、「関係性」が綺麗に書かれていたからかなと思う。
私はデスノートが好きだから、原作を読んだ上で映画もアニメも小説もチェックしている。
そして色んな「2人の関係性」を見てきた上で、今回目の前で3次元のLと月が関係性を作っている。

オタクはそこに満足しながらも、一番大きいのはタイトルの件なのかなと思った。そこの掘り下げ。


今回の舞台の中で、描かれていない人物、異なる動きをする人物が多々いる。
そしてその中で自分の中の切り替えポイントになったのが「レイ=ペンバーの存在」だった。
もっと他に攻める点あるだろと思うんだけど、何故かそこ。


今回の舞台にレイの存在はある、けれど登場しない。
そしてレイの変わりに「ハリー=ベル」という人物が出る。
彼は一体誰か?実は彼は原作にも登場している、FBI捜査官の一員である。

つまるところ、この舞台の中では「夜神月はレイと接触しない」世界観なのだ、という事が良くわかった。
レイに接触しない代わりにハリーと接触する。
たったそれだけのことなのだけど、でも自分にとってはとても大きな事だった。そこからもう『世界の分岐』が始まっていた。
だからあの人がいなかったり、あの人の家族構成が違かったり、そんなこんなしてる。


「始まりは1冊のノート」から、デスノートの世界のキャラ達が間違いなくそこにいる。
原作を十分に十分に読み込んで、けれど「どこか原作とは異なる世界」が構築されている。
そこが苦手な人もいたと思う。けれど私はそこがとても好きだった。
なぜならその瞬間に「このミュージカルは原作ベースの別物」ときちんと頭のスイッチが切り替わったからだ。


これは原作のデスノートにごく近しい、とても細かく組み立てられた「パラレルワールド」の話しなんだ、とそううまく頭を切り替えることが出来た。
すると、それまで少しモヤモヤっとしていた部分もなんだか許せてしまう。
勿論そのパラレルという事自体が納得がいかない人も沢山いると思う。
でも、デスノートの世界観はあまりにも言葉での情報量が多すぎる。
全てを語りつくすには、3時間に満たない舞台では尺が足り無すぎる。
ならば「情報の取捨選択」が必要になる。
その結果、全ての人物が、その人物のまま「原作とは異なる動き」をしている。
それが、なんだかとてもたまらなかった。まだうまく言葉には出来ない。


ちょっとずつ原作とは違う歯車が動くことによって、現れる人、起きる事の順番が変わってくる。
そしてストーリーのラストも原作とは異なってく。
なんだか、ループするタイプのアニメとか漫画みたいな『if』の描き方だなとぼんやり思った。
そして私はループものが好きなので、その考え方がドンピシャなのかなと思った。


パラレルや『if』のずるいところは、そうだと思い込んでしまうと、わりとすんなり納得がいってしまうことだ。
色んな矛盾も、原作との相違も、「まあこれは別の世界だし」と思えば気にならなくなる。
そして細かいこと(大きなこともあるけど)が気にならなくなると、同時に今度はキャラクターの感情に対して神経が研ぎ澄まされてくる。


この世界での夜神月とLの正義の戦いの「負けず嫌いさ」や、「正義へのしがみつき方」はとても綺麗に役者さんが表現してくれていて
それがビリビリこちらに伝わってくるのが堪らない。
『ifの世界観』という事で自分の中でうまく説明をつけることができたら、ただたらその役者さんの表現に目線をもって行くことが出来る。なんて最高なんだと思った。


多分、全ての原作ものがある舞台に対してそう思えたらよいのだろうが、最近はよくも悪くも再現率が高すぎる。
それゆえに「些細な相違」が気になったり、いらいらの元になる。私も良くアンケートに色々書いてしまうからとてもわかる。
でも予め「これは別の世界なんだ!」と開き直ってしまうと、あれもこれもそれも割りとストンと納得がいってしまう。不思議な物だなと思った。
かなり話が違うが、不良がいいことしてると100倍良く見えるみたいな感覚と近いのかも?と思ったり。
(決してパラレルを形成することが悪いことという意ではないのであしからず)


だから色々賛否両論ある設定も、動きも、結末も、何故かすんなり飲み込めてしまった。
まだ私がふわふわしてるからかもしれないので、回数を重ねるごとに気になるところは出てくるとは思うのだけど。
改めて少し落ち着いた目で見ると、なんて大胆にアレンジを加えた、けれど高いクオリティで世界観を再現した作品なんだろうと再び愛おしくなる。
結局はもうフォーカスがかかってしまい、褒める方向に行ってしまってるので、疑問を抱いた方の言葉を読むと「ああ!」と引き戻される。
なるほどな、なるほどなと色々また考えることが増えていって嬉しい。


そして少し頭の中の整理がついたところで、もう一度公演を観る。
それまで色々話していたことを含めて、歌詞を踏まえてきちんと考えたいので歌詞を覚えて帰って来たいところ。