夢は座席で安楽死。

観る→考える→想う→書く。

【舞台】コロッセオ・ミュージカル’80

コロッセオ・ミュージカル’80

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2015年6月24日~28日
座・高円寺

http://www.tokuo-gumi.com/colosseo.html


久々のとくお組座・高円寺。ちょっと辛口めかも。でも楽しかった。
カタカナが頭に入ってこなさ過ぎてちょっとびっくりした。(これは自分の問題)
帰って来てサイトを見たら相関図が載ってたから、これが当パンに欲しかったかもしれない。

ざっくり

ローマ帝国時代の話なので、衣装もセットもまさにそんな感じ。
横に広くて奥行きがそんなに無い舞台は見栄えがしていいな~とぼんやり。
普通に楽しかったし、「うわ!クソ舞台だ!」とはならなかったんだけど、今ひとつストーリーがとっちらかってた感は否めなかったかも。
中々耳慣れしないカタカナの名前が多い中で、客席の出入りが多かったり、バタバタしてる人がいたので序盤ちょっと集中し損ねたのが個人的に残念だった。
座・高円寺は割りと好きな劇場なのだけど、天井が高いから音が響くのは難しいな~。


あとは個人的に感情移入出来るキャラクターがいなかったというか、どこに視点をあわせたらいいのか解らずちょっと考えちゃったな~という印象。
「やりたい事」と「言いたい事」は解るんだけど、全員のキャラが濃すぎたのかも。それがここの作品の良い所なのだけど。
頭の中で聞きなれない音で「誰が何をやっているか」を整理している間に、濃いキャラクター達が自由に動いてると頭の整理が難しいのかなとも。
中々沢山キャストがいる舞台とか歴史物だとどこに焦点を当てるか…みたいのが難しいなあと勉強になりつつも、色んなパロディとかメタ的要素とか、耳が痛いセリフとか、突然のミュージカルで割りと自由空間になってた気がする。
そこがとくお組っぽいぶっ飛び方というか、ラストのたたみかけ方の勢いのよさは好きだったので、楽しかった。

好きだったり印象に残ってたとこ

コロシアムで戦わされる奴隷の男達が「いかに生き延びるか」という為に「大ダメージを受けている演技」をするという流れの中、その演出の先生と、奴隷達のやりとりがいわゆる劇団あるあるというか、ワークショップとエチュードのメタ展開があった。
奴隷たちが腹筋やスクワット、シャトルランをしている後ろで、指導のスプリウス(演出家)が色々と「演出とは」「脚色とは」みたいなセリフを言ってるのだけど、そこがとかくすっごい面白くてすっごい好きだった。多分あそこだけセリフの鋭利さが他のシーンと違ったのだと思う。


大事なのは『真実』じゃなくて『真実により近い嘘』
記憶は補正されて美化されるものだから、真実をそのままやったんじゃ「あれ?こんなだったっけ?」となってしまう。
だから多少オーバーにやらなくてはならない。これが『脚色』。
けれどそれをオーバーにやりすぎると内輪ウケになる。自分達は面白いと思っていてもお客さんは全然面白いなんて思ってない。
それに対して笑ってるのは、よっぽどの笑い上戸か酔っ払いだけよ。

…みたいなセリフがあったのだけど、そこがなんか丁度色々考えていた自分にはぐさぐさきて(私が舞台を作っている人なワケではない)すごかった。


あとは「マサミはこういう事言わないと思います!」「このセリフ、どういう気持ちで言ったらいいんですか?」みたいな「めんどくさい女優」とか
「もうすぐ台本しあがります!」「あと3日!」「あと1日!」「あとちょっと!」みたいな「劇作家」とか、あそこのメタ展開だけ凄い鋭かったので、
最初からここの人たちメインで話を動かしてしまって、劇中劇のブラックユーモアたっぷりのお芝居にしても面白かったんじゃないのかな~とは思った。
ここが妙にリアルでキレたから、他の作り物感というかお芝居感とのギャップが凄くて、おもわずここばかり印象に残ってしまったのかも。
スパイスにしてはちょっとききすぎてたのかな~。面白すぎた。から逆に言うとこっちのシーンの方が浮いてたのかな。この流れが多すぎてもそれこそ「やりすぎ」になるし、さじ加減が難しい。


あとは全体的に色々パロティがあって、大きいのだと走れメロスのパロディかな。
あれは誰にでも解りやすいからいいし、私も面白かった。
他にもちりばめられてたのかな~と思ったんだけど、どうだったんだろう。
ラスト5分の超展開が流石とくお組!という感じのいい疾走感というかふっきれ方だったのだけど、
皇帝が「実は動けるんだけどお前がどうするか試していた」って歌いだして、あっこれ『尺には尺を』だ!となり。
群集が「許してやり直そう」って歌いだして、あっこれ『テンペスト』だ!となり。
偶然にも観劇の2日前に色々学んだシェイクスピア知識がフルスロットルで発動されて凄いいいタイミングでいい話を聞いて、その後芝居を観たな~という感じ。
文学作品のパロディって「観客が知っている」のが前提になって、知っていて初めて「面白い」が発動できるから、自分の知識量が少ないと勿体無いことしちゃうな~と反省したり。


あと今回の作品で何が一番すごかったかって「ろくに歌えるメンバーがいない(徳尾さん談)なのに、ミュージカルにしちゃったことだと思う。
歌は上手い人もいれば普通の人もいて、セリフは聞き取れるレベルだったから問題なかったのだけど、ローマ帝国っぽい曲調はちょっと似たような曲が多い印象。
でもミュージカル見た事無い人でも笑いながら見れるし、くだらないと言ったらそれまでだけどその中で「あ!」とみつけられる
ちょっとしたパロディだとかメタだとかあるあるだとか、そういう物を楽しめたから良かったのかな~という感じだった。


いろんなもののバランスはやっぱり難しいな~と思わされる、よいタイミングだったかも。