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夢は座席で安楽死。

観る→考える→想う→書く。

【舞台】學蘭歌劇『帝一の國』-決戦のマイムマイム-

【※】ネタバレ 舞台

學蘭歌劇『帝一の國』-決戦のマイムマイム-

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2015年7月12日~20日
@AiiA 2.5 Theater Tokyo

http://www.nelke.co.jp/stage/teiichinokuni02/


すごい唐突に木村了くんの演技が観たい~と思っていたら、友達の連れがいけなくなったからという事で急遽観劇に。
ちなみに原作未読。前作も未見。舞台版帝一についての知識は昨年11月のネルフェスにおいての木村くんと大堀さんのくだりのみ。
会場につくまでにふわっと説明してもらいつつ、ほぼ予習ゼロ状態にてアイアへ。
ちなみにライチは原作は読んでてネルケの舞台版は観ていないという余談。

舞台全体と物語について

始まる前に円陣を組んで気合入れしている声を久々に聞いた。それだけで心が躍ってしまった。
舞台は、すっごい面白くて、楽しくて、全力で「くだらない事」をやってるの、とても素敵でげらげら笑いながら観てしまった。
舞台の作り方としては、確かに漫画がそのまま舞台になっているみたいな作りだったので、いわゆる「2.5」なのかもしれないのだけれど、役者の動き方やキャラの作り方がとても3次元だったので、なんともいえないというか、木村くんがツイートしていた「3.5次元」が一番近いのかもしれない。
ここ最近というかもうずっとだけど「2.5次元舞台とは」みたいな感じになっていたのだけど、本当に言葉でくくるのって無意味だな~と思ってしまった。
言葉が先行してしまって、何かにとらわれてしまったり今ひとつ共通の認識のすりあわせが出来てないの、めちゃくちゃ勿体無いと思う。
私の中でこの舞台は昨今の「2.5次元」という感覚ではなかったし、でも従来の感覚なら「2.5次元」だし、もう訳がわからんので2.5の概念については保留。


喜安浩平脚本で時々登場する聞き覚えのあるような言い回しがなんとなく懐かしくなったり、全面的に「ちょっと前のネルケ舞台」感が強かったかもしれない。
脚本も演出もキャストもイケメンもおじさんもやりたい放題楽しそうで、でもしっかりキャラを演じてて、というか。
今のガチガチ固いキャラになりきる漫画原作舞台とか、キャストのなんとなくのメタともなんか違うこの振り切った感じがわりと懐かしかった。
エアミュ*1をちょっと髣髴とさせたかもしれない。つんちょ*2がいたから余計かもしれないけど。
何かちょっと懐かしい感じがして、それで余計に私はぴったり来てたかもしれない。
それこそ「2.5次元舞台」という言葉がない頃の原作舞台のあの感じというか、舞台ならではのふざけた演出とかが私は好きだった。
楽曲のセレクトも、それこそちょっと80~90年代チックで、客層よりも世界観とやりたい事重視な感じ、とてもよい。1幕後半で今回の副題にもなっているマイムマイムを、客席全部使って踊り出すのはこの作品じゃないと出来ないよな~。


なんか、ふと思ったのだけど若手イケメン俳優の中に「おじさん」をいれて面白くする文化っていつ頃からあるんだろうとぼんやり考えてしまった。
例えば今作だと大堀こういちさん、佐藤貴史さん筆頭に結構暴れていて。
彼らって当たり前に小劇場の舞台だとか、一般演劇の舞台上で観るときちんとした演技(という言い方はどうなんだ)をしていて、普通の役をやっている。
けれど若手イケメンが主体の舞台にくると、突然そこの世界観とはちょっと違う、メタを引き出す「いじり役」とか「おもしろおじさん」みたいなポジションになっていて。
それが物凄い不思議というか、いいとか悪いとかじゃなくて、いつからそういう枠が出来たんだろう?と結構真剣に考えてしまった。
しかもこのおじさん枠がアドリブというかイケメンいじりというか、役になってる俳優達を元の俳優の姿に戻す役割みたいのもしていて。
それこそ多分私が一番最初にその感覚を見たのってエアミュなのだけれど、もっと前からあったのかな~。ちょっと気になるからその内調べたい話の1個にしておこう。


最近それこそアニメ的にオープニングとエンディングをつけてくる原作舞台が多いのだけれど、私わりとあれが好きで。ものにもよりけりなのだけど。
オープニングがかかるとそわそわするし、そこで誰がなんて名前の役なのか説明してくれると何も知らなくても大体わかるし。
更には冒頭でオールラウンダーズが前回までのあらすじを説明してくれるシステムがめっちゃくちゃいい。
原作を知らない人間かつ前回を観ていない人間でもシステムにすくなじめたし、あっさりとあらすじが解った。
帝一は原作がコメディちっくだから、このテンポで飛ばしたら途中でだれちゃうんじゃ…と思ったけれど意外とそんな事もなく、全体を通して「大人の全力の悪ふざけ」を観ることが出来て爽快だった。
あと「オールラウンダーズ」っていう役のシステムがあるとがちゃがちゃやりやすいよなあと。
固定されてる役のほかに、アンサンブルでもなく兼ね役で動ける俳優が沢山いるとかなり舞台の幅が広がるな~と実感。


しかしアイアシアターはやっぱり2幕ものになると、途中からお尻が痛くて集中力が切れてしまうのが難しい。
今回みたいに1幕長めで2幕の方が短くなると、体感時間としてはトントン位だし丁度良いのかも。
歌の歌詞を聞き取るにはあんまり適してないけど、ライブ感を体感するには良い音響なのかな~とかアイアに来る度に色々考えてしまう。
日々アイアに歩み寄ったり遠ざかったりしている気が……。

キャストと役について

とりあえず私が「木村了が観たい」と突然言い出した通りに、木村了くんが本当に素敵だった。
木村くんも舞台上(以下略)の人なのだけれど、この人の美麗さってどこから来るんだろうかという不思議。
帝一のメイクが綺麗だったとかじゃなくて、舞台の上に立っている木村くんが綺麗、みたいな。
いよいよ暑さで頭もおかしくなり「木村了の舞台の上にいるときの美しさは演技という化粧」「劇場が彼を美人にする感」とか大分トンチキな事を言い続けていた。
木村くんは物語のメインにいるのだけれど、引っ掻き回されたり振り回されたり支えられたり、でも確かに中心にいる役が似合うと思うので、帝一役はハマってるな~と勝手に。
おろおろする姿とか、どもる口調とか、あれだけ顔が綺麗なのに少しこじんまりしてる体型とか、少し大きい学ランとか、なんかちょっとずれてるダンスとか全部よかった。めちゃくちゃ3次元に生きてる帝一感がつよい。
そして帝一は間違いなく帝一なのに、たまに木村了の姿を覗かせるのが余計に「うっ」となるからよろしくないなと思った。好きです。


役どころとしては氷室先輩(冨森ジャスティンくん)と駒先輩(細貝圭くん)のコンビに一撃必殺でやられてしまった。
昔なじみ系ヤンキーとか喧嘩仲間とか友情とか右腕とかそういうのにめったくそ弱いので、当たり前っちゃあ当たり前である。
なんかもう選挙の時にあえて森園に票を投じた時とか、その後に自殺を止めるくだりとか、思わず泣きそうになってしまった。久々に「うわー!良い友情みた!」と口に出して言ってしまい、そろそろ完璧に暑さで頭がアレな感じである。
冨森くんはとても良いクズ役だった。クズ役っていう言葉はほめ言葉だよと言えど嫌な気持ちになる人も沢山いるのかもしれないのだけれど、クズ役が出来るというのは本当に凄いことだと思うし、表情も動きもなにもかも全力投球で感情を露に出来るのって絶対強い。
細貝くんは全体的に体を張っていて、後半なんかキリンになってたし、一番大変なのでは…と思った。ミツコが最高にかわいかった。


そんでもって森園先輩こと大河元気くん。
元気くんはなんかまたバケモノの様に美声になっていて慌てた。あとなんか凄い細くなっていた。
2幕頭で天使の羽が生えて歌いだすシーンはあまりのかわいさに大混乱をおこしていた。いやあれはかわいすぎる。
元気くんは原作舞台の二次創作という台本を、さらに二次創作して、自分なりの解釈を役にぶつけてくれるあの感じが好きで。なので同じく2幕の回想シーンでの彼の演技がたまらなくよかった。
マイムで将棋を指しているのだが、本当にあそこに将棋盤があるようにしか見えなかった。
そんな元気くんもつんちょの大暴走によって思わず噴出してしまったりしていて、相変わらずかわいかった。


そして第三の佐藤さんこと佐藤貴史さんことさと兄。
2幕の地獄のようなシブハス動物園のシーン、久々にここまで酷い地獄の様なシーンを見てしまった。
しかも今日は客席で小林顕作さんをみかけて「顕作さん来てるんだ~」と思ったら、なんか知らない間に乱入していた。
知らない間に乱入して、勝手にみぃつけた!コンビの暴走をNHKすぐ近くではじめたかと思ったら、それまで若手俳優を振り回していたさと兄を振り回して、そのまま勝手にはけていく。
そっから舞台上に戻ってきたさと兄が「顕作てめえ!!!」と言った時には、次のシーンの為に出てきた帝一がスタンバってて、全員大混乱。
最早相当地獄の構図だったのだが、涙が出るほど笑ってしまった、最早これは事故だ。
これだけ色々口の悪いシーンをやったりしてるのに、本人めちゃくちゃ良い人オーラが全快で客席降りの時とかのあのやわらかい空気とのギャップ、物凄い。


他にも皆みんな良かったからもっと書きたいのだけど、一人一人について語ると凄いことになりそうなのでとりあえずこんな感じ。
全体的にお久しぶりだけど知っているキャストが多かった気がする。思い出したらまた随時なにかしらで吐き出せればと。


……という感じで本当に勢いとタイミングだけで観劇したのだけれど、前作もDVD観たいし、次回の第三章も観る気満々になってしまった。
今回は原作を読まなくても十分話はわかったし、原作にあるけど描かれなかったシーンももちろん山のようにあると思うので逆に今回は原作未読で行ったのが正解だったかもしれない。
舞台コンテンツにおいて原作ファンを満足させるのは勿論だけれど、「原作どおり」にする事だけがすべてじゃないし、
むしろ舞台にするならある程度取捨をして組み立てなおして欲しい派なのと、今までのシリーズものとか原作を読んでないと解らないってあまりよくないことだと個人的には思うから、この帝一の國はとても良かったんじゃないのかな~。
あと作者の古屋兎丸先生が完璧に舞台に対してポジティブ全力応援なスタイルも余計にいいのかもしれない。いや~楽しかった。

*1:ミュージカル「エア・ギア

*2:津田健次郎さん