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夢は座席で安楽死。

観る→考える→想う→書く。

【舞台】さんぴん旗揚巡業公演「NEW HERO」

舞台 【※】ネタバレ

さんぴん旗揚巡業公演「NEW HERO」

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2015年7月17日~22日
東京芸術劇場 アトリエイース

https://sanpin.theblog.me/


3連休ボーナスステージ突入で芸劇に突撃。(※仕事には行ったし働いてきた。)
行くならもう今日の夜しかなくて、結構悩みに悩んだ結果、行かなかったらこれはきっと後悔すると踏んで平日な事を忘れていった。
結果、大正解。行かなかったら多分後々確実に後悔してた気がする。自分の判断をほめる。
何か深く考え必要がある舞台じゃないのでだだうちつらつら~っと自分の今感じたことを書き残し。

感想つらつら

柿喰う客の永島敬三さんが新しいことなんかやるぞー!という訳でわくわく劇場へ。
メンバーは敬三さん、ロロの板橋駿谷さん、Baobabの北尾亘さん、範宙遊泳の福原冠さん。
色々バタバタしてたもんだから、シアターイーストでやるもんだとばかり思っていて、劇場について一瞬慌てた。
会場に入るまでの間もすでにメンバーがばたばたと威勢のよい掛け声をあげて「さんぴん!こちらですよ!」とまるでお祭り騒ぎ。
場内は劇場ではなく、普段はアトリエとして使われている場所なので横長でとても狭い。
最前列はゴザの上に座布団がしいてあり、後ろはいわゆる本物のプラスチックのベンチ。
ゴザの席は「靴を脱いで楽にどうぞ」とメンバーが案内していて、なんだろう、お祭りというか花火大会に来たみたいなイメージだった。


開演が19時30分からで、開場がその20分前。けれど20分前からもうメンバーがなんじゃかんじゃと色々しゃべっている。
舞台(ではなく、本当に簡易的なステージの様なセット)の上にはカラフルな座布団がおかれ、メンバー4人の名札と共に、iPhoneから何かしゃべり声が聞こえる。
「今回の話の題材になった、東京にいる人のインタビューの生音声を流してます!メンバーの私物なので聞きたければお席までお持ちします!」と誘われたが、流石に勇気がなく見つめるだけ(笑)
「隣のベッド&メイキングスさんの舞台と間違えて来ちゃった人がいたら何かのご縁なので観てってください!」と、言っていた所、本当にベッド&メイキングスの舞台を観る予定がさんぴんを観に来たお客さんがいらして、舞台が始まる前から色んなトークが続く続く。
直前に「メンバーの中に初日に少し体調を崩してしまった人がいるんですが、誤魔化せていて全然問題ないので、万が一わかった場合は高笑いしてやってくださいね!まあわからないんですけどね!」という、明らかに前フリ的何かが入り、メンバーがはけてお芝居がスタート。
再びメンバーが入ってくると、板橋駿谷さんが松葉杖をついて全力で登場し、客席からは驚きと笑い声が。初日開始5分後に膝を脱臼してしまったとの事。
けれどそれすらを完璧にネタへと昇華して、松葉杖も作中の小道具かのように華麗に姿は素晴らしかった。


物語は、メンバーが東京という土地で出会った沢山の人の話を手を変え品を変えでアプローチしていく。
パッと一瞬で終わるものから、ゆったりとしたペースで語られる話。
ある時は朗読のように、ある時はラップのリリックにのせて、そしてまたある時は落語のように。
ロマンス、コメディ、怪談、たくさんたくさんの要素がぎゅーっとつまっていて、けれど決してとっちらかる事はなく、真剣に見つめて笑っていたらあっという間に過ぎていってしまう80分間だった。
そんな風に色んなものが沢山出てきて、けれどそれが1本の物語になっている、それがやっぱりなんか花火大会みたいだった。
決して広い会場ではないし、決してふかふかの椅子でもないのだけれど、手に汗を握りながら精一杯笑って、心をほっとさせて「次は何が出てくるのかな?」と思わせてくれるこの感じは、本当に童心に返れたようで嬉しかった。
さらに作中、照明や音響はすべて簡易的なもので、セットに組み込まれたものを4人が操作して場面を転換している。
作品から作品の間がスッと入れ替わるものもあれば、真っ暗に暗転した中から薄ぼんやりとした灯りが現れたり、こんなに少しの機材で、こんなに沢山の世界が作れるのかとびっくりした。


私が元々地声が届くくらいの小劇場舞台のライブ感が好きで演劇にはまったので、物凄く落ち着いたというか、安心したというか、懐かしい感じになったりしたというか。
勿論最近手を伸ばして色々なジャンルの舞台に触れられる事はとても嬉しいし、楽しいし、どっちが良い悪いとかではないんだけど、絶対にDVDにならないような、どちらかというと観ることよりも「この空間に一緒にいる事」が大事なような。
凄い説明が難しくてなんとも言いがたいのだけど、この小さい小屋独特の空気が、たまらなく心地が良かった。
「演劇」とか「お芝居」ってなんだろうなっていつも考えて、最近行われる舞台的な催しを作ってる人の一体どれだけが、本当に演劇を好きではじめた物なのかよくわからない2015年の中で、とてつもない演劇愛に囲まれた気持ちになって幸せだった。
勿論、それだけが大事な事かって言われると、規模が大きくなればなるほど綺麗な事だけじゃ片付かないのはよくわかっていて。
だからこそ、ビックビジネスではないけれどぎゅっと愛がつまった小さい会場が好きなのかな~とも思うし、今日だけは綺麗な事だけ言っててもいいかなと思わされる作品だった。


キャッチコピーの「君の人生の断片は、誰かの人生の本編だ。」という言葉がとても響いた。
やっぱり毎日暑かったり、忙しかったり、余裕がなかったりでいらいらいらいらしてしまう事もあって、上手くいかない事も、しんどいことも、辛いことも沢山あるけど、今日だけはとりあえず物凄い幸せと胸を張って言える。
明日になったらまた元の忙しい日々に戻るけれど、でもとにかく、今日の今幸せだったから、それでよいみたいな気持ちになった。
なんかこんなリリカルなことを言って気でも触れたのかという感じなのだけれど、この作品にはそういう力があるな~と言う感じ。


やっぱりこのご時勢に新しいことをはじめたりだとか、ユニット作りました!とか旗揚げやります!と言っても、そこで終わってしまうものも残念なことに多くて。
その為にはやっぱり最初の一歩を観に行って、きちんとこうやって思った事を言葉に残しておけたらな、と思ったので、バタバタしてしまって最後の方になってしまったけれど、きちんと観劇して幸せな気持ちになってこうしてブログを書けて良かった。
劇場という形にとらわれないこのユニットは素敵だな~と思ったし、色んなアプローチが出来るだろうからもっともっと色んな事に挑戦してほしいし、これからも観に行けたらな~と。
ビジネスとかあれとかこれとかそれとか、色々大変な2015年の日本の演劇界だけど、それでもやっぱり「演劇愛」って強い。(と私は思う。)
愛があれば、とても楽しそうに見えるし、とても楽しそうにしていたら観た人の誰かしらは幸せな気持ちで帰れるし、そういう人がいると気になる人も出てくる。
そういうコンテンツがいっぱい増えたらいいのにな~~と本当に魂が浄化されたみたいな感想ばかりになってしまったけど、そういう作品だったので仕方がない。
「さんぴん」これからもがんばってください。Put your hands up!!



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演劇に対する愛に関しては大分カンスト決めてると思う柿喰う客の次回公演「天邪鬼」の宣伝セット(敬三さんVer.)もゲット。
女中たち」では中屋敷さんの、「墓場、女子高生」では葉丸ちゃんの手書き(をコピーした)チラシが入ってるとのことで凝ってて本当に素敵である。
めこちゃんクリアファイル、かわいいので普通に使おう~。