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夢は座席で安楽死。

観る→考える→想う→書く。

【舞台】五右衛門vs轟天

五右衛門vs轟天

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2015年7月29日~9月3日
赤坂ACTシアター

http://www.g-v-g.com/


劇団☆新感線35周年 オールスターチャンピオンまつり『五右衛門vs轟天』。
もうなんというか本当に夏にぴったりのお祭り騒ぎ。
新感線おめでとう!という感じになるし、私も楽しくておめでとう!みたいなそんな感じ。

感想つらつら

…と、言ったところで本気で「楽しかった」という感想で終わってしまいそうな勢い。
何がどうでなんとかとかそういう話でもなければ、高尚な話をしたいわけでもなく。
タイトルがすべて物語ってしまっているレベルで、新感線を代表する五右衛門と轟天が戦っちゃうよ!一緒の物語やっちゃうよ!ついでにあのキャラもこのキャラも出てくるよ!という本当にオールスターのおまつり騒ぎ。
どちらかというと五右衛門の世界観に轟天が入った、という方が近いのかな、五右衛門の世界とはっていう感じだけども。

テンポがよいどころの騒ぎではなく、もうアクセル全開も通り越して、いっそブレーキは壊れてしまい、時速300キロで大走行みたいな。
緩急があったかと思ったらそこも笑いだし、シリアスかと思ったらそこも笑いだし、笑いだと思ったらやっぱり笑いだし。
普通100分ある1幕を観て休憩にはいると「ちょっとつかれたな~」となるんだけれど、GVGは「やばいあと6時間くらいこれを観ていたい」となってしまった。実際は笑いすぎてぜえぜえいっていたのだけれど。
大の大人が何十人も集まって全員で全力の悪ふざけをしてるのって、最高にいいなと思った。しかも、めちゃくちゃお金がかかっている。
新感線といえば大量のLEDなのだけれど、この舞台飽和で経費削減の2015年の中で相変わらず「節約なにそれ美味しいの?」感満載の五右衛門の登場シーンや、いやそこにお金かける必要ある!?というお金の使いっぷりは素晴らしかった。

さらには冒頭で「そんな事気にしてたらこの舞台は先に進まない」というのがまさにそれすぎるほど、色々ギリギリなネタというかむしろあの3時間20分の中で何がセーフだったのかが解らないレベルのセリフたち。
途中から何が不謹慎で、何が権利的にNGで、何が女優とか俳優的にアウトなのかわからないというか、むしろNGとかあったっけ、いやないよね、これお芝居だし!みたいな気持ちにさせられた。
やっぱり、楽しいことをやるならお金もネタもケチケチしてちゃダメな気がする。振り切らないと。と思わされてしまった。


賀来賢人くん演じるアンドリュー宝田が好きすぎた。とてもよかった。
「インターポールの中のただのイケメン若手捜査官という立ち位置から、ここで一歩前進して顔だけじゃないところを見せつける!」というセリフがあまりにも色々刺さりすぎたし、後半の「ただの顔だのハンサム野郎になってしまった」が面白すぎて本当に勘弁して欲しい。
賀来くんは顔立ちも含めて好きなのだけれど、あんまりナルシスト系のかっこよさではないイメージなので(難しいニュアンスだ)、あの役で新感線の中に溶け込んでるのは素晴らしかった。
ビジュアル的にはシャルルと並べたいし、キャラクター的には心九郎様と並べたい気持ちありありすぎた。心九郎様のあのキラーンという感じともまた違うけど楽しそう……。

あとはもう大好きエスパーダ。マローネ様のところのトリオすごい可愛いくて好きなのだけれど、今回も可愛かった。なんで悪役でつるんでる3バカトリオみたいのはあんなに愛おしいんだろう。
あとなんかエスパーダってめちゃくちゃ1789にいそうだなって思った(見た目だけである)。

それから、赤いやつを回す指令が出るばってん不知火。
赤いやつというか、蛍光オレンジのやつ。こんなやつ。
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客席でぶんぶんしてると照明が反射しててきれいだったから、あれステージから見たら圧巻なんだろうな~。
赤いやつを回すのは登場の時の1回だけかと思ったら、結構頻繁に回す指示が出て、膝の上に置いておいて正解だった。
ちなみに、これ回すのめちゃくちゃ難しかった。飛ばしてしまうかも…という不安があると綺麗に回らないかもしれない。
ばってん不知火はもう中の人いじりがひどすぎて(褒め言葉)、池田成志さんと新太さんの「この吉祥寺!」「うるせえ西荻だ!」とか、中央線で寝過ごしたとかいうローカルなネタがあまりにもローカルすぎてつらかった。
私は中の人の個人情報ネタにひどく弱いらしい。


そんなこんなで、なんかもう笑いの暴力すぎるくらいにいろいろあり過ぎて、ありすぎたせいでいろんな事を忘れかけているんだけれども、とりあえずあんなにふざけ倒しておきながら1幕のラストであんな事になるとは!!!状態。
なんだろうな、夏休みにいつも買ってる漫画雑誌が増刊号で分厚くて、いつも元々面白いんだけど、あのキャラがあんな事に!?こんな事に!?えー!嬉しいお得気分!という感じというか。
いや実際まさかマローネ様の格好をした古田新太が観れるなんて誰が思っただろうよ……。
通常のシリーズの本編でやったらしらけてしまいそうだけれど、このお祭り騒ぎの、しかも「五右衛門VS轟天」の中で、五右衛門とマローネ様が入れ替わるって良い意味で反則すぎる。


ちょっと話が横にそれるのだけれど、舞台という生身の人間がやっているコンテンツで、いれかわりとか変装を「演じる」ことってすごいよなあといつも思う。
例えば入れ替わったあとの五右衛門は高田聖子さんが演じていて、マローネ様は古田新太が演じている。
観ている私達は演じている人間の姿形が見えているし、知っているから「入れ替わりました」と言われても役者の方に目がいくから面白い。
けれど、役の上では「中身が入れ替わった」事になっているから、立ち振る舞い、しゃべり方、その他もろもろは全部役の方に準じている。
あとは五右衛門がアンドリューに変装している時も、五右衛門が変装した後のアンドリューを古田新太が演じているかというと、「五右衛門が演じているアンドリュー」を賀来賢人が演じているわけで。
簡単に言ってしまうと「役者が同じ舞台上で演じる役が変わった」だけの1人2役と2人1役が同時に存在する状態になる。
ただそれだけの状態なんだけれど、それが漫画とかアニメみたいに「本当に入れ替わった!」という事ではなく、役者が演じているをの私達が知っているからすごい面白い気持ちになるというか、不思議な気分になるというか。
うまく説明出来ないのだけれど、なんかわりと舞台の上での「入れ替わり」とか「変装」を見せる手法って、好きかもしれない。
面白く演出つけて上手く見せてこそなので、取り扱いが難しいのだけれど。


しっかし、マローネ様の謎PVからの酒場の一人酒からの学級会からのあいうえお作文のたたみかけと、サウンドオブミュージックからのJR東海からのジブリ大集合のたたみかけはアレは一体なんだったんだろう。
その2箇所の一連の流れがあまりにも好きすぎて、もう笑いすぎて涙が出てしまってよくわからないままに笑っていたけど、とりあえずワンピース歌舞伎のことは注目しようと思う(ひどい感想だ)。
攻撃のみしかなくて防御してこないというか、攻撃は最大の防御なりみたいな舞台だった。
なんていうか大事なものが何かわかるとか、ためになることを教えてもらえるとかそういうのは一切ないのだけれど、「笑って芝居を楽しむ」というめちゃくちゃ大事な事は教えてもらえる感が強かった。
というより単純に新感線が楽しそうで、それを見ていて楽しい、という本当にただそれだけだろうなあ。


「お芝居」とか「舞台」ってひとくくりにされてしまいがちだけれど、本当に舞台の上と演技を使ったものの中にもさまざまなジャンルがあって、それらってやっぱりそれぞれが別物で。
大きく分けてミュージカルとかストレートとかもそうだし、原作のあるなし、劇場の大きさから、コメディとかシリアスとか、全部が全部ちがう。
このジャンルは好きだけどこのジャンルは苦手!という人もいれば、どんなジャンルでも好き!という人もいてよいと思うし、逆にこれしか観ない!というのもアリだと思う。
お芝居とか舞台というものを「全部一緒」にしちゃうから、それぞれのこだわりがぶつかっちゃって大変なんだろうな~と改めて色々考えてみたりなんかして。
私はそれぞれを「別物」とした上で「人がお芝居をする」ということや、お芝居にまつわるアレコレが好きで、その中でより好きなものを見けたりなんだりなんだろうなあとちょっと視界がクリアになったここ最近な気がする。
私は新感線も大好きだし、楽しい。たっくさん笑ってすごい幸せな3時間20分だった。


ちなみに、銀テープはきちんとお持ち帰り。
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