夢は座席で安楽死。

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【舞台】WBB Vol.9「殺意は月夜に照らされて」

WBB Vol.9「殺意は月夜に照らされて」

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@赤坂RED/THEATER
2015年11月14日~23日

http://www.w-b-bros.jp/


佐野兄弟によるWBB公演のvol.9、奇数回なのでお兄ちゃんの瑞樹さん企画。
そういえば私は佐野兄弟をばらばらで見ることはあれど、意外にもWBB企画の舞台を観るのははじめてだった。
徳尾浩司さん脚本、亀田真二郎さん演出、佐野兄弟に柿喰う客の永島敬三くんまででるなら~~!とチェックしたら10月11月の尋常ではない観劇不足(原因は自分)に与えるにはとてもよいメンツがそろいすぎていた。

舞台について

※本編への盛大なネタバレがあるのでこれからご観劇の方は各自でご判断を。


会場に入るやいなや「何か仕出しの匂いがする…」といい始めて空腹を訴えてしまった。
匂いの原因は劇場のセットにあらかじめ組み込まれているリアル食品たち。
並べ始められてからゆうに30分は経過しているであろう食品の存在に気がつき、さらに空腹を訴えるとは一体どういう事なのか。

美術と衣装がとてもかわいくて、パンフレットを見たら衣装担当が小原さんで納得した。
小原さんの衣装ってなんであんなに魅力的なのかわからないし、どこにいっても小原さんの衣装みかけるから、小原さんがいなくなっちゃったら私たちの観る舞台の魅力がダダダっと下がる気がするので、小原さんにボディーガードを雇いたくなった。
あと舞台上にリアルタイムで動いてる時計(時間設定は現実と異なる)があるの面白いなと思った。
意識的に見ていたわけではないけれど、ふと見たときに「あっあと何分だ」ってわかってしまう、ミステリーにおいてそれが見えると「あと何回話がひっくり返るか」の目安になってしまうので、逆に弱点になるのでは~と思ったのだけど意外と平気だった。なんかだから面白かった。


そんでもって。私は徳尾浩司さんの書く本や出てくるキャラクター達が好きだ!という大前提。
バカだけど憎めない男たちがやんややんやしているのがとってもいとおしく、かつ憎めないストーリー展開になるのがとても好きなのだけれど、徳尾さんが「ミステリー」とか「複線」とか言い出すとどうしても重箱が壊れるほどスミをつついてしまう癖があり。
というより何かと言うとその大胆な複線の踏み倒しっぷりや、物語前半と後半で整合性が取れていなかったり、語られていない時間軸があやふやだったりするにも関わらず、魅力的な作品に仕上がってるのが凄いと思っているので、そういうリスペクトを込めた上で遠慮なく重箱のスミをつつく。

私は徳尾脚本の制限時間は90分だと思っていて、90分を越えると収集が付かなくなる認識で舞台を観ている。
今回の「ころつき」は85分という事でギリギリセーフ。けれど終わったあとにたまらなく徳尾脚本だなあと感じた。それって良い事だよね。
「詰めが甘い」という言葉を使いたくはないのだけれど、何が役たちのミスリードで、何が客席側のミスリードで、何が本来の複線なのかわからないのが徳尾脚本の良いところであり悪いところでもあり。
石ころに躓いてしまうと物語が楽しめなくなってしまうタイプの人(友人に複数いる)は徳尾脚本で撃沈しているので、私は徳尾脚本を楽しめるタイプでとりあえず良かったなと思っている。


今回も思い切り気になったのは時間軸と言うか、小山(本物)に対して「もう大分締め切りをすぎている」という催促が来ているのであれば、小山(作中)は大分あの屋敷に滞在していたのでは?と思うのだけれどその辺りの時間軸がやっぱりよくわからなかった。
かつ槙野くんはどこにいて何をしていたのか、何キッカケで小山(作中)を上手い事見つけ出してあの屋敷に乱入したのかという辺りが本作最大のミステリーだったけれどもうその辺りは考えない事にして楽しんだ。
別にすべてに整合性が取れているということが作品のクオリティの高さとイコールな訳ではないし、前述の通りに「ここまで引っかかる点がある」のにもかかわらず面白いというのが、凄いところだと私は思うわけで。


私の人生の中で3億回は「ワインの色がどうたらというトリックにより物語冒頭で自分で話がわかってしまってつらい案件」が勃発しているのだけれど、今回も間違いなくそれだった。
テーブルの上に白身魚料理がおいてあるのに、小山(作中)が赤ワインの瓶を持って出てきた瞬間に私の心は死んだ。
もうワインの知識なんてなかったらよかったのに、と何度自分を呪ったって、やっぱり白身魚には白ワインだし、肉には赤ワインなんだよね。仕方がない。
というよりもう「ワイン好き」が出てきたらその作品で「どうしてじゃあ肉(魚)なのに白ワイン(赤ワイン)だったんでしょう?」みたいなのが出てくるのって逆にお約束なのかもしれない。
あとワインの話といえば、どうみても少年の槙野くんが監禁されていたという事実に対して、園田がワインを差し出すのはいろんな意味で無茶があるだろ!!!!と思ったけど、その振り切り方、嫌いじゃない。
(つまるところ結局は好きなんだ!という話がしたいんだけど性格がねじまがっているのでこういう書き方になってしまうことは了承してもらいたい。)


演出面としては、ワンシチュエーションは場面転換の際に完全暗転を用いらなければならない、という制約がある中で「雷が鳴る嵐の中の停電」というのを使ったのはとても有効だな~と思ってわくわくした。
ただ前半の停電のシーンは「停電だ」と説明しながら客席側には舞台上が観えてしまっている状態だったので、そこも完全暗転にしてしまった方が私は好きだったかも。他は特に気にならず。
大道具がよく動いてとても面白かった。

しかし本当にキャラクターの記号がわかりやすくて、こういう所が徳尾脚本のとても好きなところだな~としみじみ。
出てきた瞬間にコイツ小説家だ!ってこんなにも解る小説家役、中々いない。
んだけど実際こんな小説家っていない気がして、でも「人気の少ない屋敷に不自然に一人で住んでいて自室に入られるのをやたら拒むガウンを着ている人間」が「小説家である」という認識って一定以上に存在してて、その辺も面白さがある。


というような感じで色々と気になるところはあれど、一番気になったのは槙野くんだけ逆メリバになってしまったわけで、彼に対して救いがないのがとってもとっても辛かった。
彼にはどうか幸せになってもらいたいのだけれど、どうしたら…と思ったけどあの世界線では難しそう。誰よりも悪くない子なのに…。

結局あの後、あの世界観がどうなったのかな~と言うのも気になるんだけどその辺もわりと投げっぱなしだから、本当に私は観ていた85分をホクホク楽しめたのでそれでよいのだと思う。
つまるところ色々書いてはいるのだけれど、とても満足だった。

キャストについて

佐野弟・大樹っちゃん
久々に観たかもしれない。相変わらず声が素敵で聞いていてうっとりする。
今回の髪の毛の分け方はとってもよかった、とってもよかった(2回言う)
お目目がとっても大きいので視線が動くと色々とわかりやすくて、こういう作品だと本当に使いやすいんだなあとぼやぼや。
衣装のシャツがとっても似合っていて、かっこよかった。

佐野兄・瑞樹さん
以前姿を見た時よりはるかに痩せてらしてびっくりした。か、かっこいい。
そんでもって本日公演の最大やらかし犯。初見の私を混乱させるセリフ間違いを2回ほどした為に話の内容がを沸け解らなくするという罪を犯す。
しかしアフタートークでその事についても弁明していたので「あっなるほど本当に間違えたのか」と納得がいったのでスッキリした。しかしそれでいいのか佐野瑞樹

荒牧くん
私もしかしてテニミュ以降初めて荒牧くんを観たかもしれない。
とてもお顔が綺麗でびっくりしたと共に、凄く瞬時に物事を判断してアドリブがきかせられる人なんだなあととても感心した。
本当にまったく荒牧くんの知識がうすっぺらい為に、今回バカの役をやっていたのにもかかわらず色々キレていたのがとてつもなく好印象だった。

林野くん
もうビジュアルが反則、だめ、即刻退場を命じたいくらいにかっこよかった。(それしか言ってないぞ。)
相変わらず大きかった、2メートル級の巨人で、舞台版進撃の巨人があったら巨人役を狙ってるそうで、それにしちゃ小さいな。
林野くんって本人はあんなにやわらかい空気で優しいやさしい人柄なのに、マフィアとかやくざとか黒服とかヤカラ系の役が似合ってしまうのはなんでなんだろう。

敬三くん
なんかまずWBBに敬三くんがいるという事が私にとっては大変違和感というか不思議空間で、しかし物凄い勢いで溶け込んでいてびっくりした。むしろパニの公演とか出ても良いんじゃない!?という感じ。
相変わらずの意味不明な身体能力を意味不明に披露し、特に注目されない点がたまらなく好きだった。
後は本当に耳障りのよい声をしていて聞いているだけでどきどきするよね。
「半イケメン」といわれていたけれど本当に魅力たっぷりだと思うので終始目を奪われっぱなしだった。
前作天邪鬼に続いてのメガネキャラで、メガネがなんかおしゃれでかわいかったしネクタイピンもかわいかったので、その辺り大変小原さんありがとう。
終演後に友達と話していて、彼が1987年生まれの28歳だという事実を大声で発表しておく必要性を感じたのでここに書き記しておく。

古川くん
最近気になる古川くん。やっぱり気になっているし、余計に気になった。
声がよく通り、表情しかり存在感があるのでこういう舞台に向いているとは思うんだけど、今回のカンパニーみたいな感じだと、もっと3次元に寄れると良くなりそう。
槙野という役はどうしても出番も少ないので、行間を詰めるのが難しいのだとは思うのだけれど、ちょっと立体感が足りないというか空白の時間が埋められていない部分が気になったのと、後はとっても人間味のある理由を持ち合わせてあの現場にいたのにも関わらず、どことなくサイコパス感が強かったというか先天的に殺人を好んでそうにしたてあげられてしまっていたのが勿体無かった。(これは脚本と演出面の問題でもあると思う。)
もっともっと伸びしろがあるな~と思うのでこれからが気になるところ。

動物電気・森戸さん
若手俳優がいる舞台に動物電気の人を入れる、という事を最初に考え付いたのは一体誰なんだろう。(調べたらすぐわかりそう。)
動物電気の人の動物電気感っていうのは物凄いもので、それがたった1人舞台にいるだけで舞台の安定感が尋常じゃなく変わる。そして誰がいても間違いなく動物電気の香りがそこにある。
逆に言えば、名前の後ろに劇団名が書かれていなくても「この人動物電気では?」となるのってとっても凄いよねという。
森戸さんは今回いじられにいじられるキャラだったけれども、憎めないおじさんキャラだったのでかわいくてたまらなかった。

アフタートークショー

……に、ついてはどこまでレポっていい話なのかよくわからなかったのでざっくり書き。


敬三くんは舞台上演中に色々と片付けている。それが趣味。(散らかった机の上のナイフとフォークを並べ替えたりとかしている。)
が、今日土下座をするシーンでよく見たらコンタクトレンズが落ちていて回収した。ちなみに大樹っちゃんのとのこと。とんでもない話だ。
視力がよい悪いのくだりのところで、瑞樹さんが「視力が悪すぎて、今日K.oyamaの部分をK.ayamaって言っちゃった」と言っていて、もうそれ視力の問題じゃねーよ!と思いつつ、なんでエーって言ったのかなという話が解けてスッキリした。


瑞樹さんがライフルがおいてあるのは「3階のリビング」と言ってしまった案件。
(※本来のセリフは「3階の寝室」である。)
それに対して本来は更に補足のセリフがあったのだけれど1つわざと飛ばした、のを瞬時に判断して荒牧くんが次のセリフを言った、という事でほほ~という感じ。
ちなみに私はここでもトラップにかかっており、物語が1階リビングで進行しているのになんで3階にリビングがあるんだ???と思っていたら説明があったのでスッキリその2。


終盤、小山(作中)が「5万パーセントない!」というセリフが稽古最終段階まで入っても上手く表現できず困っていた瑞樹さん。
これはどう読むのが正解なんだ?と悩んで敬三くんに相談したところ「もう歌ったらどうですか?」と提案されて「5万パーセントない♪(バレンタインデイキッス♪のメロディ)」を提案された。
絶対にやらねー!といいながらも稽古場で流行ってしまったとの事。
ちなみにバレキスが誰の楽曲か思い出せず「AKBだっけ!?」と言い出した瑞樹さんに対し、森戸さんが最終的に「国生小百合だから!!」と怒っていたとのこと。
明日以降誰かがバレキスを歌いだしたら全力でカットしにかかります、と荒牧くんが息巻いていた。


敬三くん演じる亀ちゃんは裏設定で忍者村で働いているという裏設定があり、林野くん演じるアキラもデザイナーらしい。本編で紹介がないのでここで言っておこうね、と。
忍者らしさを表現する為に色々やってるんですけど~と言いながらも、最前下手にいたお客さんに気がついてもらえずしょんぼりする敬三くん。ちなみに彼は今日やりすぎてソファをひっくり返した。


リアル食べ物を食べるシーンがあるために「チーズが歯に挟まる」とボヤく大樹っちゃん。
パンも本当によくつまる、というか今日コーンスープにパンが入っていたんだけどなんで!?という話で、「裕太(古川くん)がぞんざいに投げたらポンポンって入っちゃった」と敬三くんが補足していた。
敬三くんと古川くんがとても仲良しになったのか、「裕太」と呼んでいるのがとてもほほえましかった~!!かわいい!


楽屋の声が客席に聞こえるし、客席の声が楽屋に聞こえる。だから悪口言ってると聞こえるよ!という煽り(笑)
先日の公演で尋常じゃなく開演前の客席が静かだったので楽屋も話しづらくて困ったから、開演前はもっと皆うるさくしててください!というお願い。
森戸さんがワインセラーの前でバスタオルでふざけるシーンが稽古場では大うけだったのに、初日あけてから凄く静かでヤバイ、という話をしていたら森戸さんが登場し「その話やめろ!」と釘をさして去っていった。


引き出物に対する「バスタオルかよ」というツッコミ、本来は敬三くんもあったのだけど亀田さんによりカットされたとのこと。
どうせならいっそ皆で言えばいいのにね~と提案しだす敬三くん。古川くんがバスタオルをかけられるシーンで「バスタオルかよ!」って言ったら面白いのに、というその案が面白すぎて涙が出た。
もうそれちょっと別の面白さになってしまうからやめてほしい。


とりあえずそんなところ。
色んな事が起きるからこそやっぱり舞台って楽しいなと思わされたし、10月以降舞台を観る本数がガクンと減ってしまっているので、色々折り合いつけつつもうちょっと手広く観ていきたいな~という結論。
あ、あとレッドシアター入り口の照明がWBB仕様になっててとてもかわいかった。
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