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夢は座席で安楽死。

観る→考える→想う→書く。

【舞台】ミュージカル座「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」

ミュージカル座「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」

@IMAホール
2016年2月10日~2月14日

http://www.musical-za.co.jp/stage/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%B4%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A02016/

友達に誘われてふらっとM座。キャストをよくみてなかったら松永一哉くんと内田理紗ちゃんが出ていてラッキー!やったー!という感じ。
最近貯金がすこぶる減っていく理由を考えていたんだけれど、誘われたという理由でホイホイ何千円もする舞台をしれっと観に行っているからだなと思った。貯金は使うために貯めてるので何の問題もない。

感想ぱらぱら

タイトルからわかる通りに1950年代のアメリカの自由公民権運動の話を、M座なのでミュージカルで表現した作品。休憩込み2時間45分くらいだったけれどさらっと楽しく観られたし、クオリティも高くて面白かった。
教養がないけれどお勉強したい系おたくとしては2時間45分かけて色々考えさせられてよかったかもしれない。
一応義務教育課程は超えてきた記憶があるので、確か世界史だか英語だかの授業でアメリカにおける人種差別問題とか、自由公民権運動の話とかこの辺りの話は学んだ記憶が遠くとおーーーくにあって、中でもキング牧師の演説は確か暗唱させられたからわりと前知識無くてもさくさく~という感じ。

私自身がそもそもコンプレックスなり不具合の塊みたいな生き物なので、大多数がどうだからこうみたいなニュアンスで他者を差別(区別とは違う)する事が殆ど無いので、なんだろう、やっぱり数によって人の優劣が付けられているのが当たり前になってる世の中が、ほんの数十年前までは存在していて、今も世界のどこかではそういう事が当たり前におきてるんだなあと思ったら結構ぞっとした。
2016年の日本って大層平和だ、改めて感謝したい。おたくは毎日が戦争なんだけど。

キング牧師のスピーチって凄い好きで、何かって言うと「自分たちが正義!」なんじゃなくて「お互いの正義を尊重していきましょう」という所がたまらなく好き。
それで皆で手を取り合って生きていきましょうね、という言葉があるから、頭の固い頑固なおたくとしてはその言葉が染み渡る。
おたくって言ってるけど、やっぱり私が義務教育を受けている年の頃は集団にコミット出来ないコンプレックスとかが強く出ていたので、こういう事を言う人もいるのか~とお勉強しながら感動していた記憶があり、それを思い出して結構泣いてしまったりした。

ただ、私の「忠臣蔵いらつき問題」と同様に、キング牧師の話が書かれてる作品って往々にしてキング牧師がヒーローで、差別を受けていた人達は被害者で、向こうは皆残虐非道な悪魔で人でなし!といういわゆる0か100か思考で書かれてしまってる事が多いのでそれがいつも気になってる。
忠臣蔵いらつき問題とは、どういった作品でも必ず吉良上野介が最低最悪の悪役で倒されてしかるべきという善悪がぱっきり分かれた描かれ方をされている為に双方の意見を聞きたい派としては吉良の話も聞かせろや!と私が勝手にいらつく問題のことである。)

凄く難しいんだけど「差別」と「区別」はどこからがどっちで、どこからがどっちなんだろう。明確な線引きってきっと存在してない。
だから誰かにとっては「悪気の無い区別」のつもりでも、誰かにとっては「生きるのが辛いほどの差別」に当たることだって、世の中にはたくさんある。きっと私も意識して無い内にそういうことをたくさんしてきたんだろうし、今だって無意識の内にしてるんだと思う。
知らなかったら許されるのか、無知は無罪なのかっていうとそうではないんだけど、なんだろうなあ、「それが当たり前」として生きてきた人達にとって、その平和が脅かされる事の苦痛や恐怖っていうのも少なからず存在していると思う。
だから、全面的にこっちが悪いのよ!という様な感動の仕方はどんな作品においてもしたくなくて。

歴史上のどんな極悪人でも、どんなに大事件でも、たくさんの人が命を落とした事でも、大勢の人が嘆き苦しんだ事件でも、私が自分の目で見て自分で体感していない事に関しては、なるべく口を出したくないし、善悪を決め付けたくない。
何故かというと「私の目で見てない」以上、その話を教えてくれた誰かの主観が多かれ少なかれ入り混じっているから。
誰かの気持ちや感情が入った意見を聞いた上で勝手に決を下すと、それは悪気がなくても伝言ゲームに加担してる事になってしまうので、できれば避けたい。
とはいえ過去にタイムスリップしてその当時の事を見てくる訳にはいかないので「こういう歴史もあったのね」という教養のひとつとして押さえておくし、思想だとか言葉だとかに感動はするけれど、決して何かを善、何かを悪、何かを正義、とかそういう風なものの見方はしたくないよなあ~。というひねくれ天邪鬼者なので、今回の作品についても同じようなところ。

私が今まで見聞きしてきたキング牧師の話って、絶対的に美談が多くて、まあそれはそうなんだろうなあと思うんだけど。キング牧師を悪役として話してる人の思想とか、あとはキング牧師に賛同しているけど白人種の人とかの話とか、もっともっと沢山の人の目からみた、色んな視点の色んな気持ちとか意見を聞いてみたいし、そういう作品も観てみたいなあと思った。
なんかすごい真面目なんだかなんなんだかの話になってしまった。最早舞台の感想から逸れてる。

舞台に関しては流石M座なのでクオリティはチケット代金に見合っていたし、今回の作品は「アンサンブルが存在しない」という風な記載があったのだけれど、確かにどの役も名前がついていて、バックグラウンドが明確に存在してた。
舞台上に小さな世界が確かに存在してて、スポットが当たる量の大小はあるけれど、どの人物が1人欠けてもダメなんだろうと思わせてくれて、こういう配役の置き方好きだなあと思った。
後は久々におでこにマイクつけてるタイプの舞台を観た気がした。

本当に2016年に生きるおたくのクソみたいな感想で申し訳ないのだけれど、おたく、どうしても「秘密結社」とかそういう単語が大好きでKKKについては昔もなんか色々調べてた気がするんだけど、出てきた瞬間謎にテンションがハイになってしまった。
いや、なんだろう、歴史を軽んじてる訳ではないのだけど、KKKの実在した団体とは思えない記号っぷりはヤバいと思う。
まず「秘密結社」なのがヤバいし、名前が「クー・クラックス・クラン」で略してKKKなのがすごいヤバいし、次に白装束がヤバい。いや白装束まではわかるんだけど、なんで三角の帽子を被ろうと思ったのか、時を越えてネイサン・ベッドフォード・フォレストとかにインタビューしにいきたさがある。
一言でいうとすごい中二病の香りがするんだけど、その主義が崇め奉られてとんでもない量の人間があの格好してた時代と世界があるんだって思ったら怖いよねっていう話。
KKKが恐怖の対象なのは凄いわかるし、それが作中でも良く描かれてたなあと思うんだけど、心がどこか壊れてる現代日本人がKKKの装束を見ると変な笑いがつい出てしまうんだなと思って、やっぱり自分の心の壊れ方を心配した。

キャストについて

偏った対象に思った事をなんとなく書いとくコーナー

内田理紗
ロビーについて、置いてあるスタンド花を見て「内田理紗」ってどっかでみた事ある名前だな~~~あっ、りさりんだ!となる。完璧に後追いだけど去年までピューロでDEをやっていた人である。世間の狭さが尋常じゃない。
世間的には多分キングダムハーツのカイリの声優と言った方が通りは早い気がするし、私もそのイメージが強い。というかそことピューロのりさりんがイコールな事にとても最近気がついた。
物凄く頭の悪い物差しなんだけれど、声と顔が大変好みなので気がつくと目線を持ってかれてしまう。私の耳にとって聞き心地のよい声をしているというかなんというか。
演技を生で観るのは多分はじめてなんだと思うけど、演技もとても好みだったので何かまた次の舞台あったら観に行きたいな~という気持ち。
ベスという優しいけれど誰よりも心配性で弱虫の女の子の役で、見ていてはらはらおろおろしてしまう感じだった。ベスが泣きそうな声で「どうしよう…」というと、本当に上手く行かないんじゃないか?と思わされてしまう、そんな演技だったので声や表情の力って凄いんだなあと思った。
最後、皆が弱気になっているシーンでベスが皆の弱気をとっぱらうシーンがあったのだけれど、そういう自己の殻の破り方に弱いのでぼろっぼろに泣いてしまった。今回私を一番泣かせたのはこの人。
青のワンピースもとっても似合ってて可愛かった~。

松永一哉
舞台の上で観るのは久々かな?相変わらずのパフォーマンス力かつ、ハマり役だったのでは~という印象。
松永くんが出てる舞台は何本も観てるけど、彼が演じてる役で涙を流したのは今回がはじめてかも(そもそも泣かせるような役をやってないというのが前置きとしてある)。
この人はアンサンブルにおいておくにはちょっと勿体無いというか、目立ってしまうんだけれど、プリンシパルだとしても主役!というキャラクターではなくて、悪役とかアウトロー側の役だとか、ちょっと人間みがないファンタジックな役とか、あとはもう狂言回しとかにもってくると似合うよな~と思ってるので、今回は丁度そんな役どころが当たったのでラッキー!
衣装もどこかマイケルっぽかったので似合っていたし、コーンロウの髪型も普通にしっくりきてたのが怖かった。
ダンスは元々バケモノ級に上手いので、久々にとてつもなく綺麗なウィンドミルが見られて感動したし、後は歌唱力が断然にアップしてたので驚いた。
私がスパイクという役に対して上手く共鳴できないというか「だから言っただろうが!!!」とぶちギレてしまうタイプなのでそこに対しては感情移入出来なかったけれど、M座との相性はいいのかな~と思ったしまた何か別の作品に出てほしいかも。次は1789に出るから、今年中にまた観られるはずなので楽しみ!

大胡愛恵
アウトロー側のヒロイン・リン役。すっごい綺麗ですっごい大人びていた。ら、24才とかそれくらいでびっくり。去年の「ペール・ギュント」にもアンサンブルで出てたらしい、という事は多分観てた。
声と役作りが凄い好みだな~と思った。
強気で勝気な女の子が大好きなので、細身のシルエットの中にたまらなく詰まった勝気さは誰よりも芯が強かったと思うし、観ていて惚れ惚れしてしまった。松永スパイクとのビジュアルバランスもとってもよくて尚よし。
スパイク亡き後、キッズのメンバーを送り出すシーンがあまりにもかっこよすぎてついて行きたくなった。
ベスが「弱いけれど実は強い女の子」ならば、リンは「強いけれど実は弱い女の子」という感じで対比が出来てとってもよかったかも。演技も観やすかったし、2幕の黒のドレスがとっても似合ってて綺麗だった~。

北川辰彦
なんか1人だけ歌声と声量が凄い人がいるんだけど何だこの人!!!と思ったらオペラ歌手の人だった。物凄くマイクいらなくないかと思ったのはここだけの話。
最初はほがらかな青年、後半周りが見えなくなって闇落ち~というような役どころだったのだけれど、声量もあって物凄い迫力と言うか、声だけで悪い人!とわかる演技や歌だったり、後は声だけで殺されそうなくらいの気迫があるのはかっこよいしズルいなあと思った。
この日はじめて観てはじめて知った方だったけれど、普通に目も耳も持っていかれた、かっこよすぎる。
婚約相手のフィリスを演じていた中村萌子さんとのビジュアルバランスや体格さが私好みで「大きいけれどどこか弱い青年」と「小柄だけれど強く自分を持っている女性」のコンビを見てはにやにやしてしまった。
トムも極悪人!という感じではなくて、結局弱いだけの男の人というか、最終的にはフィリスとの愛を大事にして色んなものと戦って前に進むという役どころだったので今回の作品の中の男性役では一番好きだったかも。


他のキャストも皆よかったのだけれどとりあえず印象に残った4名についてぱらっと。
ちょっと色々考えたかったからパンフレット安かったし~と思って買ってきたら、振り付け担当の石岡さんがそもそも元ピューロDEの人だったと記載があって「あーーーー」みたいになってしまった。
この週末はピューロにいかないで舞台をみよう~!というのでこの日も2本ハシゴしてたのだけれど、なんだろう体が自然に求めてるとか呼び寄せてるとかそういう事ってあるのかなと思った。いやあるよねそういう事。

ついつい知ってるキャストが出てる作品ばかり選んで観てしまいがちになっているけれど、こうやってある程度のクオリティが保障されてる興行元の作品をふらっと観に行くのも定期的にやらないとな~と思ってしまった。いや結局今回は知ってる人いたんだけども。
もっといっぱい舞台観る時間がほしいー!!!!!となった2月中旬だった。