夢は座席で安楽死。

観る→考える→想う→書く。

【舞台】君のそばにいたいのに

劇団プレステージ番外公演「君のそばにいたいのに」

@CBGKシブゲキ!!
2016年2月12日~2月21日

http://amuse-gekipre.com/

プレステージの番外公演がいよいよシブゲキに来てしまった。というか私は久々にシブゲキでプレステージの舞台を観た気がする。
NON STYLE石田明さんを脚本に招いての本作品、地味にシブゲキにプレステージが進出してから一番好きだったかも。
ところで当日パンフレットに役名がなかったので大変困ってるのでそこだけは欲しかった、次回よろしく頼みたい。

感想ぱらぱら

以下、ネタバレあり。

突然なんだけれど、私は石田さんの脚本やら笑いのセンスが好きで、でも彼のSNSでの発言が大変に得意ではないのでブログやTwitterの言葉は読まないようにしている。
そういう作り手の人って私にとっては何人もいて、とっても大好きな作品を作るのに、日ごろ発する言葉には「ウッ」てなるってなんでなんだろうって思うんだけど、やっぱり自分の心に刺さる言葉を使った作品を作れるっていうことは、その人がネガティブな気持ちを込めた言葉もささっちゃうってことなのかな~とぼんやり。
だからうっかり前情報でブログ開いた時に「ウッ」ってなったのだけれど、作品観終わったら「やっぱり好きだなあ」と思ったので、本当に不思議。
好き勝手言ったけれど、劇団プレステージと石田さんの脚本の相性は抜群だと思うので機会があったら是非またコラボって欲しいなあと言うのが純粋な感想。

今公演、なんだろう、すっごく昔の劇団プレステージの香りがした。これ別に本公演でもいいんじゃないのぐらい。
今ってどうしても平埜くん、猪塚くん、風間くん辺りが前に出てくる作品が多くなってて、最近だとそこに株元くんとか太田くんとかもいるのかな…で、大村くんとか今井くん、高橋くん辺りが目立つサブキャラとして置かれてる作品が多い。
別に彼ら全員にスキルはあると思うんだけれど、なんかすっごい「いつも同じ感じだなあ」というのが拭えなくて、いまひとつ新しい可能性に出会えてない。ので、私は番外公演の方が好きなのかなあと思う。
今回は春日くんと長尾くんがメインで、坂田くん、大村くん、株元くん、向野さん、高橋くんあたりで固めて、他の子たちがスパイスで入ってくる感じ。
なんだろう旗揚げ前のメンバーが主体となってやってる感じもそうだし、無理に劇団員全員が出てきてないところとか、エンタメに寄ってないところ、あと舞台上の年齢層が高めだったり、悪い意味ではないけれど「ある種華が無いメンバー」だからこそのがむしゃら感が、劇団プレステージっぽかった。と、私は思う。主観。
すっごい懐かしい気持ちになったし、やっぱり無理に全員だして無理にエンタメによせて、無理に綺麗な話とかしなくてもいい気がする。番外だから出来ること、だとしたらちょっとそれって勿体無いし、本公演だからこそ必ずしも華があって派手な作品である必要って無いと思うから、こうやってメンバー選抜された作品を今後もやっていって欲しい。

雑なあらすじを書くと、神様になるための最終試験を受ける事になったウンヌン(長尾卓也)に与えられた最終課題は「とある家族を幸せにしてくること」。人気お笑い芸人(大村学)とその妻(坂田直貴)、綺麗な娘(株元英彰)とイケメン息子(春日由輝)の一見幸せに見える4人家族の元についたはいいけれど、なんだか自分が来てからトラブルが続いて…!?ウンヌン、これからどうなっちゃうの~!?みたいななんかそんな感じ。
ワンシチュエーションではないバタバタ友情物語というところかな。最初タイトルを見てあらすじを読んだ時は普通に悲恋系の恋愛ものだと思っていたら友情と家族の話でとっても心が暖まった。
去年の9月に観たアナログスイッチの「幸せを運ぶ男たち」が、若干似たようなテイストの作品だったので「あーこれアカンやつや、ワイ泣くやつや」と思って観ながら観てたらやっぱり泣いた。
なんだろう、頑張ってるのに空回りするって言うのはどうにもつらいものがあるし、大好きな人に幸せになってほしいのに自分が足を引っ張ってるって知ってしまうのって、なんてつらいことなんだというような、今の自分に刺さるシチュエーションとか言葉がいっぱいでグサグサなったけれど、お陰で「頑張ろう」とも思えてよかった。

個人的には最後に別に歌わなくても良かったんじゃないのか?と思ったのだけれど、まあプレステージの中で最後に歌うというのは消化しなければならないタスクみたいなものなので気にしない事にした。
とはいえ一回くらい完全暗転で話が終わってもいいのにな~とは思う。多分最後に歌っちゃう事で作品の印象が似た感じになっちゃうところはあるんじゃないかな~。こういう胸にじわっとくる作品の時は、もう少し余韻を与えてくれてもいいのに。
後は一番頭にも書いたけれど、当日パンフレットに配役記載がないので「今回初めて観た人」がどれが誰だかわからないのが残念かなという。あと私も役名が覚えられてない。
番外公演の当パンなんていつもこんなもんだし、別に物販で新しいもの出してくれる必要はなかったんだけど、名前の後に(○○役)って一言ずつ書いてくれると優しいかなとは思った。
プレステージもわりと「知ってますよね」前提でやる物事が多いというか、既存のファンに向けてのアプローチが重点的になってしまって、いまひとつ初見の人間の目線をスルーする事が多いので、11年目の課題はやっぱりそこかな~とものすっげーーー勝手に思った。

あと、やっぱり番外になると週末でもシブゲキは埋まらないんだなあというのが目で見ての感想。
平埜くんがオーファンズ、猪塚くんと風間くんが地球ゴージャス出演中の中で、別にこの3人だけが主軸ではないと思うのだけれど、ここ3人の大きさを感じたと言うか。SNSをざらっとみててもリピーター層が少ないようには感じた。まあお財布の中身にも限りがあるし。
でも決して「おたくが何度も通う舞台」が「作品として優れている」とイコールではないと思っているし、私はプレステージが好きだからこそ、今回は1回で物凄く満足する事が出来て、それで周りの人に勧めたいな~と思ったし、いつもは満席で取れないチケットに対して「当日券あります!」というのは凄い強みだと思うので、ここで「普段観た事ないけど行ってみようかな?」と思う層が足を運んでくれて、楽しいな~面白いな~次もチェックしてみようかな?となるのが一番当たりなのかなと。
ネタバレだよって書いてしまったのでこの記事を未見の方がどこまで読んでるかはわからないけれど、もしよかったら21日まで公演が行われてるのでオススメしたい。

キャストについて

春日由輝
「今、この春日由輝をみてくれ2016」最有力候補……というか多分今年これ以上のものは出てこないと思うのでグランプリ内定。
春日くん、大好きなんだけど、ずっと女の子役だったのが解せなくて。彼はもっと前に出ていい、前に出してきていいと散々言っていた(個人的に勝手に)のに出てこないか、出てきたらいっつも女の子役で、確かに顔は綺麗だし細いし、劇団員の中で貴重な女性役かもしれないんだけれど!彼は男でしょ!という主張をたま~にアンケートに書いていたら満を持して男子役。しかも高校生、最高。
彼がメイン役で男子やるのってもしかしなくても2012年のサイキック・フライトの再演ぶりとかではないのではないだろうか、それはそれでどうなんだ!?と思ったけれど物凄くよかったので4年間の溝が一気に埋まった気がした。
春日くんももう30歳手前だけれど、今回は前述の通りに周りを固めてるメンツが初期メンバーだったり年齢層高めだったのもあって、高校生役でも余裕だった。というか本来お芝居って何才の人が何才の役やろうとあんまり関係ないと思うからガンガンやってほしい。
女性役をやるとどうしても演技力の前に女子力というフィルターがかかってしまうので、今回こうしてまっすぐに春日くんの、儚いし芯が無いけど優しさに溢れている演技ががっつり堪能できてとっても満足。
後列から見ていたけれど表情の移り変わりとかわかりやすかったし、最初の誰も寄せ付けないつっけんどんな思春期少年からの、心を開いた後の笑顔にもっと女子は落ちていいと思うし、この春日由輝を皆みてくれー!!たのむーー!!ウオー!!!という感じだった。
あとP!サイトの春日くんへの100の質問の「新メンバーについて」と「アルバムが出た件について」の回答が個人的にすごい「お前はおれか」状態だったので、このなんか若干当事者じゃない感じ推せる。

長尾卓也
ウンヌン役長尾くん、本業が六本木でプレステージが副業~とか度々からかわれてるけど、普通に上手いよね。この間のHaGT?でも思ったけど、長尾くんももっと前に出てきていいと思う。
これは主役と言っていいのかな、彼がこの役でよかったなあと思うし、純粋ゆえの悪意ない行動が他人に刺さったりだとか、あとは頑張ってるのに空回りしているところのしぐさだとかがもう胸に刺さってしんどかった。
友達が「結城くんがウンヌンやったら似合いそう」と言っていて、あーなるほど確かに、と思ったのだけれど、長尾くんは意外とポスト結城枠の役が似合うかもしれない。意外な発見。
結城くんが抜けた以降の劇団プレステージで、ポスト結城を見つけられていなかったのだけれど、今後そういう所におくのはアリかも~楽しみ~となった。
長尾くんの無邪気で純粋な表情から発せられる、現代日本人からしたら考えられないような優しさに溢れるワードの数々が、正直心が廃れきった私には痛くて痛くて結構しんどかった。
長尾くんは本来は現代日本人のはずなのに、こんなにも「違う世界だからこそ言える」というニュアンスを出せてるのがとんでもねー!いやこれが役者か!みたいな気持ちに。
ウンヌンと輝樹(でいいのか?)が仲良くなるキッカケになった、「僕がやったっていうより、輝樹がやったっていう方がママさん悲しむかなって思って」というセリフの後に、今流行りのlove so sweetを流したくて仕方がなかった。
長尾くんと春日くんのコンボも凄いよかったなあ~。すっごく綺麗な友情に見えたし、いわゆる「狙ってる」感が1ミリも無かったので余計に泣けた。
これが変な話、ウンヌン役が猪塚くんとかだったらもう真面目に舞台観られてなかったと思う(チーム86コンビが好きなので)。
冗談さておき「思春期男子の綺麗な友情」が好きな身としては、そういうのをきちんと描けるのはやっぱり脚本が男性だからなせる業かな~とも思うし、それを演じてるのが長尾くんと春日くんだったからこそだと思う。ナイス配役。

坂田直貴
今回個人的に「おっ」となったのが母親役の坂田くん。女性役メインで持ってくるのははじめて……かな?
最初出てきたときはびっくりしたけれど、本人の声が高いので女性役似合うじゃん!となったし、なんかあの更年期のヒステリーおばさん感がすっごいしっくり来てて良かった。
怒り始めてドラム叩き出した瞬間、セットぶっ壊れるんじゃないかと思ったので千秋楽まで無事にセットが持ちますように。あの辺りとか、あと掃除機の仕草とかの芸がこまけえなあ~と思って、じわじわ笑ってしまったんだけれど、会場爆笑!とまではいかないこのじわっと来る感じも坂田くんらしいのかな。
ただキレる仕草がまだどうにも30代男性の凄みがあったので、そこはもう少し女性的でもよいかなあ~とは思ったけれど、全体的に坂田くんのいいところが引き出されてたと思う。今井くん演出の時の坂田くんって凄いいい方向に引っ張られてると思うから、この人ももっともっと色々やってみてもいいのにねっていう。
「アウタースペース109」で春日くんが奥さん、坂田くんが旦那さんの夫婦役だった事があって、そのコンビが結構好きだったのだけれど、今回坂田くんがお母さんの春日くんが息子という組み合わせでそれもしっくり来てたので、やっぱりお芝居って無限の可能性があるな~と思わされた。

株元英彰
株元くん……は逆に久々に女性役だったのかな。
なんか気がついたらすっかりデカくなってて、すっかりがっしりしてて、すっかりしっかりしててびっくりした。でもちゃんと女子に見えたのも凄かった。
株元くんは10代を女子として過ごしてきたのか?というくらいに10代~20代の女子役が似合う。かわいいから~とかじゃなくて、「そういう女いる」っていうのがよくわかってるというか、女子のムカつく感じを演じるのが上手い。だからって春日くんと同じで女性役ばっかやられるとそれはそれでつらいんだけど、男子女子を行ったりきたりしてても尚その切れ味が衰えないのは素晴らしい。

大村学&向野章太郎
貧乏だったところから一躍人気タレントになったお父さんの大村くんと、会社をクビになって無職だった所からそのマネージャーになった向野さん。
主役ではないのだけれど、物語の主軸に存在している大村くんとそれを支える向野さん~という立ち位置だったのでなんか余計によかったかも。この2人がにこいちだったのも観ててバランスよかったし安定感あった。
この2人はもうなんというか初期の頃は悪い方の「何をやっても似たような感じだなあ」だったのが、最近はいい方向の同じ意味に変わりつつあるので、その辺りは色んな舞台を観てスキルをあげてきたのかな?というイメージ。大村くんはなんかもうこうなったらこういうキャラクターでどんどんやっていけばいいと思う。
向野さん、最初千本桜ホールでも何言ってんのかわからなくてこの人本当に平気なのか、ていうか本当に役者なのかと思っていたという今だから言える話があるのだけれど、この声のまま普通に全部聞き取れるようになってるの中々凄いなと思った。から向野さんもこのキャラでどんどん突き進んでいって欲しい。

岩田玲&高頭祐樹
このコンビが好きだ!という話を忘れた頃にするのだけれど、好き。
特に何か接点があるとか仲良いとかではなくて、単純に大きい人と小さい人が並んでるのが好きなだけなので理由はそれだけで以上も以下もない。んだけども。
今回ここの2人もにこいちにされていて、しかも悪がき高校生、高頭くんは頭がキレて嫌なやつ、岩田くんはわりとバカなちょっといい奴…というビジュアルも中身も真逆で持ってこられたので観ていてしんどかった(最近「しんどい」という単語を乱用してしまうのでブログでも使用して忘れないようにしたい)。
高頭さんがすっげーーーームカつく高校生で、そのすっげーーーームカつく感じをあんなに温和で折れそうな人がやってるのが観られてよかった。この2人、やな奴コンビのはずなのに動物園行ったりキャッチボールしてんのめちゃくちゃかわいくて東京の高校生なのか不安になった。多分違う。

その他(で、まとめてしまった)
脇を固めてたメンツも個人的には好きなところ揃いだったし、脇役は脇役としてキャラが立ってた(けど出張ってこない)のも凄いよかった。
今回演出担当の今井くんがまったくもって出張ってこなかったのが個人的には最高によかった。最初にキッカケとして出てくるけれど、その後は作品を見守ってる感じが今回の作品においての「演出兼出演者」の丁度良いバランスだと思ったので、ナイスというところ。
あと小池くんのリアストおたくの役が怖すぎて死ぬかと思ったから勘弁してほしかった、リアリティが強い。怖い。
脇を固めてるメンツがゆるい笑いをつめる担当というかそういうイメージだった。
シリアスなシーンで笑いが入ってくるお芝居があんまり得意じゃないのだけれど、今回はその笑いがわりとシュールなところによってるというか、自分の好みの笑いが自分が好きな量入っていたので、逆に緊張していた体がふっとリラックスできる感じと言うか。真面目真面目真面目!で100分間じっと見続けるのではない感じが好きだったなあと思う。
なんかこのよい意味でのバカバカしさも、本当に劇団プレステージらしいなと思えた。

個人的な話

私の中の「私と劇団プレステージ」の距離感が丁度よくつかめたというか、落としどころが見つかった公演な気がした。
ああやっぱり私は彼らの作るお芝居が好きだな~と思ったけれど、お芝居以外の面……とくにストラボとかはまったく追えてなくて。リアルイベントとかだと予定を開けて行こうかな~と出来るのだけれど、画面の前に何時間も張り付いたりが中々出来ない環境になってしまった。多分私がそういう層ではなくなってしまったからなんだと思う。
それに対して当初は、いわゆる0か100かタイプなので「全部追えないなら…」みたいにモチベーションが下がってしまっていたのだけれど、普通に彼らがやってる事も、作品も好きな事に代わりは無いので、自分が観たい時に観に行って(もう初日とか千秋楽とかにもあんまりこだわってない)、こうやって楽しかったな~と思える範囲で楽しんで、そんで思った事をだらだらと書くくらいがきっとよい距離感なんだろうなと思う。というのがわかったのもよかったのかな。なんかちょっとスッキリした。
本公演のお知らせってまだされてないけれど、次も行くと思う。ずっと観てきたからこそ、これからもマイペースでゆるゆる応援できたらというところ。

11年目か~はあ~とぼんやり思ってしまったのだけれど、これからも彼らがのびのび楽しくお芝居できますように!そんでまたこういう作品観れますように!