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夢は座席で安楽死。

観る→考える→想う→書く。

【舞台】柿喰う客フェスティバル2016「サバンナの掟」

柿喰う客フェスティバル2016「サバンナの掟」

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@花まる学習会王子小劇場
2016年6月2日~6月26日

https://kaki-kuu-kyaku.com/

はじまりました柿喰う客10周年記念のお祭り騒ぎ!約1ヶ月間王子小劇場(今公演から花まる学習会王子小劇場)でぶっ通し54ステ(+追加1ステ)、どこまでいくんだ柿喰う客、どこまでついていけるんだ私の腰。
今年1月に発表があった時点で「6月は人間をやめよう」と思っていたのだけれどギリギリ人間をやめない範囲でぼちぼち王子に出没する予定。
小さな劇場の中にピンクと黒のギンガムチェックみたいな舞台。激しい色使いなのに、慣れてしまったからかとても落ち着く。わくわくする。

感想ぱらぱら……の、前に

私はこの6月2日から26日の最終日まで隙を見ては王子にいるつもりだし、うるさいくらいに柿フェスおいでよ!おいでよ!botになる気でいる。
今回の「へんてこレストラン」「露出狂」「フランダースの負け犬」は現時点では未観劇なので、そこに関してはもしかしたら何かでモチベが下がってbotが停止になる可能性はゼロではないのだけれど、9割強の確率でそれはきっとない、と、思う。でも観てみないとわからないので今はとりあえず既に観劇したものだけ観てねbotとして活動したいと思う。

なんというか、今回の柿フェスはどうにもこうにも自分が「それ観たかった奴やー!」と言っていた5作品が一挙に押し寄せていて、いやこれ作品選んだの私かな?あら違うわ??という感じで。
お芝居の再演ばかりはどうしたってこちら側の都合じゃどうにも出来ないし、だからこそ観たい!と思った舞台は全力で観るし、観てよかった!と思う舞台は人に沢山勧めるし。そういう。
「あの時観ておいたらよかった」を死ぬほど経験してきているから、なんかこう、まあ、そういう1ヶ月になってしまいそう。
ここのところ暫く「がっつり演劇に浸かる」ということと「そこから色々なものを得て長文を綴る」という事を疎かにしてしまっていたので、反動で今なんかもう物凄く喋る人になってしまっている。
まあ私の頭と体はそれぞれ1個ずつしかなくて、あちこちにある私の「行きたい場所・観たいもの」を全部制覇したり同時に考えたりするのは難しいので仕方がない。

今年5月までの反動を、6月の約1ヶ月でひっくり返すくらいに、一旦6月は柿漬けになろう宣言。
とはいえ私も人間生活を送っている以上劇場に住むわけには行かないので空いている時間は…というようなニュアンス。
すっげーーー余談だけれど柿フェスが決まった時のLOFTで中屋敷さんに「これはもう6月は仕事やめますわ」って言ったら「そこは働いて!?」とマジレスくらったので働きながら観劇します。大丈夫、働かないとチケットが買えない。
そして頑張って働いた上で観るからこそ、褒めるものは褒めるし、ダメなものはダメってはっきり言う。それ、大事。
どうでもいい前置きおわりで柿フェス来てねbotの活動をはじめます。

感想ぱらぱら

「柿喰う客」誕生の引き金となった幻の作品が復活!
売春女子高生vs暴力刑事vs買春政治家vs闇組織!?
夢と希望と皮肉と悪ノリが支配する荒唐無稽な亜空間!!

作品の説明をするのをもう放棄しようとしているので公式からアオリを引用してきた。
…というわけで柿喰う客、初期の初期作品をリバイバル。20人のキャストは全員客演さん。
ド初っ端から凄い事をいうのだけれど、私は「中屋敷演出の柿メンバー」が好きなので、今回この柿の初期作品である「サバンナの掟」が再演される!というのを聞いてめちゃくちゃ嬉しかったとともに、この公演には劇団員メンバーが出ない完全オーディションというのを聞いて一瞬「マジかーい!」となってしまったりもした。でも本音。
とはいえそれはそれ、これはこれなので楽しみだったので普通にさくっとすぐ観劇。

なんだろう、すっごく柿だった。誰も柿メンバーが出ていないのに柿だった。
中屋敷演出作品を観ていて、良し悪しは関係なく、当たり前に「ああこれは柿じゃないな」と思うことがあり、それこそ2年前の「フランダースの負け犬」とか、戯曲は柿のだし、柿から敬三さんが出演していたのに個人的にはあんまり柿じゃなかった……という話はフランダースを観終わった後にまた改めてそちらの感想で書くので一旦ストップ。
とかくこのサバンナの掟は、言葉のテンポも、立ち振舞いも「ああ柿だなあ」みたいな。とてつもなく語彙力の無い感想なのだけれど「若い柿喰う客」だった。

不思議なのが、確かに若いし、戯曲を書いているであろう中屋敷さんの言葉のセレクトとかもとてつもなく若い。若いというか幼いというか、それが悪いという意味では無いんだけれど、今の本公演で使っているような少し意地悪い言葉遊びとかではなくて、もっと直球ドストレートみたいなイメージ。
だから劇作家・中屋敷法仁も若い、演じてる出演者も若い……のだけれど、この戯曲が10年近く前に書かれたものとは思えないくらいに今の社会情勢とか世の中のあれこれとかにマッチしていて。
だから「10年前の柿喰う客と中屋敷さんを2016年につれてきて上演されている」みたいな不思議な気持ちになる。
この不思議な感じはそれこそ観てみないとわからないものな気がするのだけれど、その10年の時間の溝がなぜか2016年の王子で見事にマッチしているのが、ちょっと気持ち悪くて、かなり面白かった。
あと照明とか音の使い方が今の柿喰う客というよりかは昔の柿喰う客(私は直接自分の目では見ていないけれども)という感じで、本当にリバイバル?再構築?10年前の熱量を今よみがえらせる?みたいなそういう言葉に出来ないような気持ちがいっぱい胸につまっていた。
政治とか売春とかLGBTとか募金とかあれとかそれとかこれとか、色んなことに触れてるんだけど、どれに対しても「ただ触れてるだけ」なのがすごい。何か強いメッセージ性があるわけでもなければ、何かを啓発することなく、ただ皮肉ってるというか、茶化しているというか、その歪み方が「ヒネてんな~」という印象。

あと、ここから下の話は、全体的に「悪い」という事ではなくて可能性という意味で、やはり今回はオーディションで公募の「今まで中屋敷さんと作品を作った事がないキャスト」が集められているので、その中での「柿っぽさ」の適合度合いというかなんというか、そういうもののバラつきが面白かった。
そして最年少は実際に高校生!というような若いキャスト陣が揃っているのでスキル面でも「もっと伸びるぞ」と思わされる部分が多いというか。
滑舌、間合い、テンポ、噛んだ時やセリフが飛んだときに元に戻すための空気感、舞台上でトラブった時の自分のリアクション、そういったものの数々がまだまだ甘い…という言葉を用いるのは違う気がするのだけれど、そこに凄く「若さ」を感じた。
これは決してダメ出しではなくて、そんなまだまだ伸びしろのある若い役者さんたちが20人もいて今こうやって柿喰う客フェスティバル2016の幕開け作品としてここで演劇をやっている!というのがなんて未来ある話なんだ、すごいな、日本の演劇界いけるわ~~!頑張れ頑張れ!みたいな気持ちになった。私は何者なんだ。
後はやっぱり柿の舞台は独特なテンポで物語が進んでいくのだけれど、そのテンポに物凄くよく乗れている。のだけれど、一旦何かがキッカケで止まってしまった時に、劇団員だとその復旧のテンポも柿なのだけれど、今回のサバンナはそこにどうしても歪みが生まれる。
ぽんぽんぽんとテンポに乗って上演されていると凄く柿だ~!と思わされるのだけれど、そういったときに「柿喰う客」はやっぱり一朝一夕でなれるものではないのだろうなあ、と思ったりなんだり。

登場人物の話をまったくしていなかった。
私の中のクソブ(クソ舞台をスタイリッシュおしゃれに言ったつもりのもの)基準として大体「小劇場なのに上演時間がアホのように長い」「小劇場なのに登場人物が多い」「小劇場なのになんかアクション指導とか特効についての記載が当パンにある」みたいなものが挙げられていて、今回のサバンナの掟は登場人物が20人なのでその基準の1つに当てはまるというか。
けれど上演時間が60分なのでその点では逆に期待もあって、20人の登場人物がどう調理されるのか、そわそわしながら観ていた。
ら、まあ、20人全員キャラが濃い!!!!!!
こいつら60分で処理しきれるのかよ!と思ったらバーっと出てきてワーッと処理されていって、ある意味物凄い乱暴さを感じたけれど、きちんと1人1人に何かしらのバックボーンがあって、その情報が供給過多にならない程度にこちらに教えられて、観劇し終わった後に大体ざっくり「誰がどういう人だった」と覚えていられる&一言で説明出来るのが物凄くよかった。
とはいえ20人はやっぱり濃かったな~これは良し悪しどちらの意味でも。
この作品は上演する度に上演時間や登場人物の数が変動するらしく、上演時間は30分だったこともあれば100分強だったこともあるし、登場人物も30人とかいた事もあったとのこと。すごい。
というかそれを違和感無く削ったり増やしたりするのがとてつもないな~と思ってしまった。
帳尻合わせの戯曲というよりかは、あくまでもバックボーンがあるそれぞれの人物を「どこまで舞台上にあげるか」「どこまでその人物に触れるか」の取捨選択をしているからなのかなとか思ってみたり。

本当は出演者20人全員についてじっくりゆっくり語りたいのだけれど今どうしてもタイミング的に難しそうなので本当にぱぱぱっとになってしまって悔しいのだけれど…!書かないよりかはマシ!!ということで。残りも追々ツイートとか出来たらいいなと思ってはいる(気持ちはある)。
個人的には富永役の瀬戸かほさんがすっごい空気感に合ってるな~この人今までなんの舞台に出ていたんだろう~と思ったら今回が初舞台とのことで凄くびっくりした。えっなんか柿の新メンバーですよとか言われても違和感が無い位作品に溶け込んでいたので本当にびっくり。
あと個人的MVPは星秀美さん…じゃなかった、美少女。いや、間違ってないのだけれど(星さんのあだ名が美少女で、美少女と読んでほしいとのこと)。
圧倒的存在感とキャラクターの立ち方がすばらしかった。彼女は逆にまったく柿っぽくなくて、けれど「柿の客演でスパイス的に投入されそう」という立ち位置のまま、今回のサバンナでも舞台上で暴れまわっていた。
軽太役の小山悠さんはめちゃくちゃメガネが似合う。なんだその酷い感想は、というところなのだけれどビジュアルって大事じゃん。目を引くじゃん。ということで書き残し。
それから散々散々スベってると言われている茶柱役の岸田大地くん、私は、とても、好き。その劇場でスベりにいくのはとても勇気がいることだと思うので個人的には意地悪な感想なのだけれど千秋楽までややウケをMAXくらいで、どちらかというとスベり続けてほしい。スベってる茶柱がかわいい。
他にもまだまだ書きたいんだけど一旦この辺り。いやー本当に全キャラ濃いし面白いし、ゆっくり語りたいしというレベルに、あの60分間の舞台上にいる20人の役全員にストーリーがあるのがぎゅっと濃縮されてるのがすばらしかった。

ちなみに、今回上演されている最後の1シーンがとてつもなく好きで。
当初この戯曲を書いた中屋敷さんが「流石に恥ずかしくて言わせられない」と思ったセリフを今回の再演で付け足したとの事。
本人は恥ずかしい恥ずかしいと言っていたけれど、私はそのセリフとそのシーンがとてつもなく好きだったし、えっ全然恥ずかしく無いけれども!?と思っていた。かなり胸に刺さった。ので、今回そこのシーンを追加して上演してくれてよかったな~としみじみ。
ラストのシーンでなんて言ったかは、それはまあぜひ劇場で聞いてもらえたらとっても嬉しいなと思うのでとりあえずここには書かないでおく。
そんな感じの現代社会の弱肉強食、1日パスの6月26日を除くと残りは6月12日(日)の19時、6月19日(日)14時、6月19日(日)の追加公演19時半公演がラスト。ぜひとも。若い、まだまだ緑の柿を、王子で。