夢は座席で安楽死。

観る→考える→想う→書く。

【舞台】柿喰う客フェスティバル2016「露出狂」

柿喰う客フェスティバル2016「露出狂」

f:id:ka_ri_ng:20160614212905j:plain:w300
@花まる学習会王子小劇場
2016年6月2日~6月26日

https://kaki-kuu-kyaku.com/

柿フェス3作品目は柿→パルプロ→柿に戻ってきたよ露出狂。今回は女性版。
この後パルコプロデュースで再度再演も決まり、コミカライズも決まり、なんだか凄い事になっているぞ露出狂。
この後盛り上がること間違いなしのこの作品、今観といた方がいいんじゃない!?今度の男性版に推し出るかもよ!?と軽率な誘い文句でとりあえずいろんな人に声をかけている。

感想ぱらぱら

などといいながら後追いの観客は実は劇場でちゃんと観るのははじめてだったりする。
女性版は映像で、2012年のパルプロ男性版は当時からすっごい「観た方がいいよ」と言われまくっていたのに観なかった事を後々後悔していて、これは多分一生後悔して過ごすんだと思う。
このキャスティングで再演して欲しいんだけれどどうみても無理な面子がそろってしまっている。参考までにこちら
ちなみにこの映像はキャストの誰かが死んだらその葬式でねって中屋敷さんが言ってたので、イコール見るのはほぼ無理という事で長生きしようと思う。
結局今回のフェスはそういった作品がまあ見事に上手い事に上演されているので、つまること何がいいたいかというと「私は再演を待って2016年の今やっと上演されているから、今上演されてるならぜひ観て欲しい」という気持ちがどうしても強くなってしまうのだった。

アフタートークで「これはスポ根というよりコミュニティーの話なのかも」みたいなことを言っていて、ああ~そうかもなあと凄い納得がいった。そんでもってコミュニティーの話だからこそ、女性版を先に観られてよかったかもしれない。なぜなら私は女性で、女性の独特のコミュニティーがすごく嫌いだからだ。
女性の距離感と、男性の距離感が違うというような事もしきりに話していて、それもすごく「うんうん」と頷くものばかりだったし、自分が知ってる世界が、自分の知ってる世界では起こりえない形で目の前で繰り広げられていて、凄く不思議な気持ちになった。
当たり前の様に女性が女性を好きになったり、好きでいたりする世界はファンタジーだし、けれどそのファンタジーは「男がいない」のではなくて「男性がいる世界の中での女性の距離感の危うさ」みたいなものとか「愛情と友情の境界線」みたいなものとか、彼氏が出来たら友達とか仲間は蔑ろにしてしまうのか?とかそういうの、なんかすっごいある。女子高生に限らず、女子はよくある。

そんでもって「同性愛」「乱交」「レイプ」そういう単語が飛び交ってるのに、まったくもってやらしくないのが凄かった。なんだろう、当たり前のように耳の右から入っていって、当たり前のように耳の左から抜けていく。それらの言葉を「日常会話で使っちゃいけない単語」として耳が拾うのではなくて「当たり前に使われすぎて特に気にならなくなっている」のがなんかこれ一種の洗脳の類なのでは…と思ってしまった。
中屋敷さんも「変態が出てきすぎたり、皆変態になりすぎていってどんどん感覚が麻痺してってる」というような事をいっていて、ごもっともだ、大変にごもっともだと思った。だから三期生(1年生)で比較的マトモな子達が出てきたときに「あれっ?」となり、真今井が「いいから普通にサッカーをさせろ」という主張に対して「本当だよ」と思わされて、段々正常に引き戻されていくこの感じ、たまらなかった。90分の世界の中の開始15分くらいで完璧に頭が変態に染まりきっていた。


今回のキャストは14名で人員配置としては一期生が選手4人のマネージャー1人、二期生が選手4人のマネージャー1人、三期生が選手3人のマネージャー1人。
14人の内4名が劇団員で、その劇団員の4人は一期生(3年生)の選手4人を演じている。これがなんかまた大変よろしいキャスティングだった。
皆をひっぱる男前キャプテンの佐反町に七味まゆ味さん。副部長兼頭脳派の白峰に葉丸あすかさん。4人の中では存在感は少し劣るけれど確実にチームをまとめている部長の御器に新メンバーの長尾友里花さん。何を考えてるかわからないけれど誰よりもメンバーに固執している比留役に同じく新メンバーの福井夏さん。
長尾友里花ちゃんと福井なっちゃんに関しては多少当てて選んだ部分はある、とアフタートークで言っていたのだけれど、この「四天王」4人を劇団員にしたのはとてつもなく大当たりだと思った。今回の柿喰う客フェスティバルを象徴するような配役だな~というかなんというか。
この4人が主軸で物語が進んでいくので、ある種メタ的な何かを感じてしまったりして。

で、この4人が主軸…と書いたが、決して客演陣のキャラが薄いわけではない。というより、濃すぎるくらい濃すぎた。全員分説明するというより「こことここの関係性が~」みたいな感じで全部語りつくしたい位にはどこをとってもかわいすぎるおいしすぎる素晴らしすぎる。
そりゃあこんなにキャラが立ってて全員かわいかったらコミカライズもするわ!って思ったらコミカライズ版は男性版と聞いて納得なような残念なようなでもやっぱり楽しみ…と、話がそれたけれども。
物凄く勝手に個人的な趣味を言うと、白峰とその後輩野宮(清水みさと)の関係性が好きすぎた。野宮にめちゃくちゃ幸せになってほしいんだけれど私は片思いキャラが好きなので、野宮の恋が成就したら多分野宮にはもう興味がなくなるんだと思う。すごいひねくれた性格だなこれも。
そんな感じで14人の好きとか嫌いとか愛してるとかそういう感情が交差しまくっていて、とてつもなくカオスで、それがたまらなかった。「ああ、わたし、こういうの、みたかった。」という欲がバーっと一気に満たされている。かわいい女子が沢山いるだけで眼福なのに、当たり前に全員演技が素晴らしければ作品にも溶け込んでいて、全員が全員自分の立ち位置を確立している。もうなんかいう事なしすぎる。


話が行ったりきたりするのだけれど、今年の1月から柿の新メンバーになった長尾ちゃんと福井なっちゃんがもうすっかり柿の女優になっていて、かつここ2人が相対する感じだったのがとても素晴らしかった。
個人的には比留みたいなキャラクターが大好きで、逆に御器はそこまで追いかけはしないけどいると安心するタイプというか。
比留のあの、10代の危うさというか、それこそ「友情と愛情の境界線」みたいなものとか、自分より大事なものを作らないで欲しいとか、自分達は4人で1つでしょとか、ああいう独占欲の強さはわかるし、それをあそこまで狂気に溢れて演じているなっちゃんは本当に素晴らしかった。
一方でいろんな事に対してある種サバサバっとしている長尾ちゃんの御器も、あれはあれでチームの事を思って自分の色を少し消している所があるし、どっちもあるあるわかりすぎる!みたいな。
ラストシーンでこの2人のくだりがあるのはとってもずるかったし、繰り返すようだが今回の14人中4人だけが劇団員で、しかも新劇団員2人が最後のシーンを飾るあの瞬間は思わず何の感情かはわからないけどブワッと涙が出てしまった。不思議だった。悲しいとかじゃないんだけど、感情がそのまま目から出た。


とりあえず色々落ち着いたら露出狂観た人と各々の関係性について語りたすぎる!と思ったのだけれど、嬉しい悲鳴として明日から「フランダースの負け犬」がはじまるので頭があっという間にそっちにもっていかれそうで怖い。というかきっと持っていかれる。
しっかしそれにしても「いまさらキスシーン」「サバンナの掟」に続き、楽曲がよすぎる。サントラ欲しい。全部どの曲も好きだけれど、今のところはダントツでこの「露出狂」のメインテーマかな…。