読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

夢は座席で安楽死。

観る→考える→想う→書く。

【舞台】さんぴん 国道4号線 夏祭り巡業公演『NEW HERO~仙台、道の上より~』

さんぴん 国道4号線 夏祭り巡業公演『NEW HERO~仙台、道の上より~』

f:id:ka_ri_ng:20160712214814j:plain:w300
2016年7月8日~11日
@せんだい演劇工房10-BOX box-1

https://sanpin.theblog.me/

咲きほこる花は散るからこそに美しい。仙台公演を観るには、仙台に行かなきゃ観られない!!!
という訳で国道4号線をひたすらにひたすらに走っていき、気がついたら仙台。走ったのは新幹線だけど。
今年もやってきましたさんぴん、東西南北プチョヘンザ!!(1年ぶり)

ここまでのあらすじ

感想を書くにあたって色々考えたのだけれど、なんとなく舞台について長々と書くよりかは、この舞台を観に行くまでの経緯と、それで思ったこととかそういうものを書いた方が今後の自分のためになるんじゃないかなあと思ったので、そういう事にする。

柿喰う客の永島敬三さん、ロロの板橋駿谷さん、Baobabの北尾亘さん、範宙遊泳の福原冠さんの4人による演劇ユニット「さんぴん」。
去年、さんぴんの旗揚げ公演を飛び込みで観に行ったらとても面白くて、感動して、「次があったら行きたい!」というような事は当時から言っていた。去年のブログ記事。
ka-ri-ng.hateblo.jp


で、まあ今年は仙台公演ですよと結構早い段階からお知らせがあったものの「仙台かあ~どうしよう」と、当たり前だが東京民は悩んだ訳で。ただTwitterにもちょこちょこ書いていたけど「東京でやっていない公演」が観たかった。
学生演劇とか、地方の劇団さんの話は一旦横に置いた上で、大体の商業公演は東京で行われる。誰かが前に「面白そうなものは大体東京にある」って言ってた気がするんだけど、これいつの誰の発言だ…!後日漁ろう。
東京で暮らして生きていくというのは決して楽なものではないというか、それは47都道府県どこも同じな事で、大変な事もつらい事も勿論ある。
でもそういう「お芝居を観る」とか「楽しい場所に行く」とかいう事に関しては物凄く恵まれているし、「ちょっと気になるな」って思ったらすぐに舞台を観にいけてしまう環境で生活をしているのは確かで。
私の家から1時間以内で行ける劇場って、今どれくらいあるんだろう?って考えたら、ちょっと多すぎて数え切れなかった。本当にそれくらい。

関東民が遠征する時の基準って大体「東京で観た物を別の地方で」な気がする。というか私はいつでもそれで、基本的に「千秋楽が観たいから」という理由で遠征する事が多い、というか99%だな。
回りくどくなってしまったんだけど、つまること「作品に出会う為に遠征をする」という事を今までした事がなかったんじゃないか!?という事に気がついて、それがなんだかとんでもない事なような気がして「ちょっとこのタイミングでそれをやってみよう」という事で、レッツ仙台。

東京駅から2時間ちょっとで到着した仙台駅は物凄く綺麗でお店は何でもあって、でもそこから地下鉄で数駅進んだ卸町には本当に何もなかった。
駅から劇場まで10分ちょっとあるのだけれど、路上で誰にもすれ違わなかった、凄い怖かった。
劇場に到着すると、劇場スタッフの皆さんがとても暖かく迎え入れてくれて、さんぴんずの4人は天気のいい日差しの下で衣装を干していた。

舞台について

真っ暗な倉庫式の劇場の中に、ぽつぽつといくつかの島があり、色んな角度からステージが観られる様になっている。
どこに座ろうか迷っていると、東京公演おなじくふらふらと喋っているさんぴんずが席を選んでくれたり雑談してくれたり、相変わらずのアットホームな感じ。
トイレの案内があったり、上演時間の案内があったり、スタッフさんの私物だというセグウェイを乗り回すさんぴんずを見たりしながら開演を待つ。
定刻になると「それではもう暫くお待ちください!」と言って4人が姿を消し、向かい側に座っているお客さんがよく見えて、お互いなんだか恥ずかしくなったりしながら再びの登場を待ってぼんやり。

4人がハケて暫くすると、倉庫の扉の外から気合入れの声がする。ガチャリと思い切りのよい音がなって扉が開け放たれると外の青空が思いきり目に入り目が眩む。
「さんぴん」と書かれた旗を持った2人、ゴザを担いだ2人が劇場内へとせわしなく乗り込んできて、大きく開かれたドアがまた丁寧に閉められていく。
まさかそんな所から現れるとは思わなかったので、突然の事にびっくりしていると、やんややんやとゴザがひかれ終わり、井草のいい匂いがした。

そこからは東京公演と同じ、手を変え品を変えのお祭り騒ぎ。
以前観た時よりつなぎ目がスムーズになっていて、かつ死角も少なくなってる中で物凄くフルに舞台を使っていて素晴らしかった。
アフタートークで「中途半端に隠すならいっそ見せてしまえ」というような事を言っていたんだけど、それが本当によかったのかもしれない。

どの話も好きだったけれど、中でも「ダンスで失敗」「昔ばなし」「ひまわり」辺りが好きだったかな。
「一高グラフィティ」はもう好きとかそういうアレではなくてライブして貰いたいレベルだった(敬三さんと亘さんのラップによるセッションの話が1話あった)。
今回女性役を敬三さんと駿谷さんがやる回数が多かったのだけど、まあ4人とも本当にころころと表情も年代も変えて、ふと見たらかわいい女の子、ふと見たら男子高校生、ふと見たらおばあちゃん、ふと見たら恋する青年。それが全て同じ衣装のまま、セットもない状態で行われる。のにちゃんとその姿に見えるのだから、やっぱり演劇ってものは凄いな~としみじみ。
個人的には「敬三さんがシャカリキに踊る」というのに何故か弱いようで、「昔ばなし」で知念里奈を踊りだした瞬間すごい変な声を出して笑ってしまった。
後はお客さんは結構クスクス笑っていたのだけれど「ダンスで失敗」という娘(亘さん)のダンスの発表会を観に来たお母さん(駿谷さん)の話がすっごい好きで、私はウルウルしながら観てしまった。
なんだろうな、コンサートに来てるみたいなイメージだったかもしれない。バラードもあればアップテンポの曲もあって、それぞれはまったく別のものなんだけれど、1つ統一されたテーマがある、みたいな、そんな印象。それは東京の時から変わってない。

東京の時との大きな差は「私が仙台の事情にまったく詳しくない」という事だった。
これはアフタートークでも思わず聞かせて貰ったのだけれど、観ているお客さんが「あるある!」となって笑っているネタが、まったくわからない。
小さい劇場の中にいる地元(ないし宮城周辺)のお客さんたちが笑うポイントで、私はネタがわからなかったりして、謎の疎外感を覚えたりしてちょっと面白かった。でも逆に言えばさんぴんずの作ったネタがそれだけ「あるある!」となるものなんだな~すごいな~と思ったり。
そしてネタがわからないからつまらないという事は決してなくて、全力で楽しい75分だった。

最後の話が終わると、ゴザを中心にさんぴんずが床にチョークで絵を描いていく。絵というか、地図。ゴザの部分が丁度道になるように、今まで紡いできた物語のキーワードや、それにまつわるイラストをガリガリと凄いスピードで描いていく。その演出がなんか物凄い好きでたまらなかった。
なんだろう、凄い変な言い方をするんだけどプロジェクションマッピングのアナログ版みたいな印象を私は物凄く勝手だけど受けた。
プロジェクションマッピングってめちゃくちゃ便利だし、魔法みたいだなっていつも思ってるのだけど、本当に魔法みたいにさらさらと地図が描かれて行くのが、この年になって凄いわくわくしたし、同時にゾクゾクもした。
その後提灯をつるして点灯、再び勢いよくドアを開け放って、全員そこからハケていき、お客さんは「地図に書きあがった道の上から退出できる」という中々粋な演出だった。
昼公演は青空が綺麗だったし、夜公演は暗闇の中の提灯の光が綺麗で、丁度昼夜で観てよかったな~としみじみした。

総括

昼公演と夜公演の間、やる事がなく暫く劇場併設のカフェでスタッフさんやさんぴんずとお話させてもらったり、さんぴんずがセグウェイに乗るのを見てたりしたのだけど、その後ふらふらと近くを散歩に。
するとまあ見事にコンビニしかなくて感動した。人がいないし、車も通ってないし、店もない。普段自分が置かれない状況なのでそわそわしたし、ドキドキしたし、わくわくした。
劇場のすぐ裏手にそこそこ広い公園があったのだけれど、原っぱ独り占めし放題。とりあえず寝そべる、空とか見ちゃう。やる事がない。夜公演まであと2時間、空でも見てぼんやりしよう!と携帯を投げ捨てる。
こんなの東京じゃありえないし、とんでもない贅沢だわと思って思う存分「暇」を満喫してみる。

スタッフさんも皆優しくて、色々お話聞かせて貰って、凄く暖かいな~と思ったし、いい所だな~とも思ったし、また来たいな~とも思った。
けどあまりにもあの東京のなんともいえない人ごみと冷たさに慣れてる私は、ちょっとその暖かさが怖くなったりするレベルには人間不信をこじらせていた。微妙に輪にコミットできない自分に対して「お前東京で暮らしてて本当に良かったな」と思わず言ってやりたかった。
ご飯は美味しいし、空は広いし、夏なのに涼しいし、でとっても快適な仙台だったけど、それでも自分は東京が好きなんだなあと思えた事がありがたかったというか。
これは決して東京>仙台と言いたいわけではなくて、「私が惰性で東京にいる訳ではなくて選んで東京に居つづけてる」という事とか「なんだかんだ言ってやっぱり東京が好き」という事を再確認出来たというか。
たまに別の景色を見てみて、他所の景色も素敵だな~楽しいな~と思いつつも、それでもここが好きだな、と思える場所があること、そこにいられる事って恵まれてるなと改めて思った。のでこの夏はちょっとだけいい人になれるといいなと思った。謎の結論。
でも本当に私は舞台の公演やらなんやらがない限り東京から滅多に出ない人間だし、むしろ東京内で「あれも観たいこれも観たい」でせわしなくしてるので、今回こういう素敵な場所に出会えるキッカケや、色んな事を考えるキッカケを作ってくれたさんぴんにはとってもとっても感謝したい。
今後まだまだ公演はやっていく予定とのことだったので、次は予定が出たら早めに誰かに声をかけて旅行がてら行ってみるのもアリかな?とか。
折角素敵な作品だから、沢山の人に観て貰いたい!と思うのだけれど、いかんせん東京公演が終わってしまってるので、とりあえず次が決まったら率先していく人にはなろうと思う。全てはその時の自分のスケジュール次第だけども。

私の人生の断片に、仙台という地を刻めて大変有意義な時間だった、本当に。
牛タン凄い美味しかったな~~~。
今回は朝食券がついてくる公演があったのだけれど、次は「さんぴんずと食べるご当地料理夕飯会」とかやったらいいんじゃなかろうか(ボールペン忘れてアンケート書き損ねたのでエゴサ待ち)。