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夢は座席で安楽死。

観る→考える→想う→書く。

【舞台】サクラパパオー

サクラパパオー

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@彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
2017年月4日26~30日

http://www.parco-play.com/web/play/sakurapapao-/


パルプロで中屋敷演出で片桐仁と永島敬三が共演で……。
前情報から色んな事がキャパオーバーをして、気がついたらさいたま芸術劇場にいた。
会場に着くと、そこには確かに「大人の遊園地」が広がっていた。

感想ぱらぱら

舞台の感想を書く前に、事前の中屋敷さんと片桐さんの対談記事がとてもよかったので勝手に紹介しておく。
www.cinra.net
私は別にシネラの回し者ではないのだが、新年度も1ヶ月を過ぎ、色々と人生について頭をひねらせていているタイミングだったのでとにかくこの対談だけで背中を押されてしまい、かつ「この舞台は絶対に観ておかねば」と強く思わされた。そして気がつけば彩の国。
対談自体もめちゃくちゃ面白かったのでオススメしたい。


劇場内に入ると中央には大きなメリーゴーランドが設置されており、その後ろには馬の蹄鉄の形にも見える競馬のゲート。
人が出入りしてバタバタしやすそうな構造かつ、中心に円があり、八百屋になっている形式はどことなく昨年夏の「艶情☆夏の夜の夢」を思い出した。
けれどあれは「ファンタジーの世界の現実」で、今回は「リアル世界の非現実」というか、大々的な「作り物」感に溢れる、ポップでメルヘンなセットがとてもかわいらしかった。
多分この辺に写真がある(ネタバレ注意)。
natalie.mu


主演はA.B.C-Zの塚田くん。塚田くんを最後に見たのは数年前の東京ドームでKAT-TUNのバックをしていた時だった。あれから数年、まさか演劇の世界で彼と出会うことになろうとは誰が予想しただろうか……というほど大げさではなく本当に久々の塚田くんはまさか30代になったとは思えないくらいのキュートさと、相変わらずの身軽さで、しょっぱなから「演出上のアクロバット」を披露し、その時点で勝手にお得になった。
演者自身が身体特技を持っている場合の、この「舞台進行上まったく必要ないのにその特技がねじこまれる」メタさがわりと好きなので(加減はあるが)、じわじわ来てしまった。
あと、なんだかんだで私は「コンサート会場で見た事がある人」の「演技を生で観る機会」がないな、と気がつき、こうして俳優の塚田くんと劇場で出会えたのは面白かったなあと。
ダメダメ青年役なのに、どうしても好きになってしまう要素を持っている塚田くんはとてつもなかった。

片桐さんを舞台上で観るのはいつぶりだろう。多分数年ぶりになってしまう気がする。
久しぶりにみた片桐さんは、やはり全身から「ありえないくらいのいい人」のオーラが出ていて困惑した。
どうしようもない大バカ野郎なのに、なんでこんなに愛おしいんだろうかと。この人を嫌いになれる人なんていないだろうと思わせてくれる役作りが大好きで、いつまでたっても片桐さんは私の中のヒーローなんだろうな、と思う。
所詮お茶の間ラーヲタの身分なので何を知っている訳でも、何を偉そうな事を言える立場でもないのだが、まさか中屋敷演出に出る日が来て、普段見覚えのあるあれやらこれやらが披露されるとは思わずびっくりしてしまった。演劇界は狭い。

そして片桐仁の演出をさせたら小林賢太郎の右に出る人間がいない(※当社比)ように、永島敬三の演出をさせたら中屋敷法仁の右に出る人間はいないのではないかと思う。
なんというかエレクトリカル永島敬三パレードだった。「永島敬三のいいところ、全部貴方に教えてあげる」という感じだった。一人テーマパーク永島敬三。
中屋敷さんによる「外の舞台に永島を連れて行けばとりあえず大丈夫」感というか、尋常ではない安心感と、それに答える敬三さんの安定感にとてつもないホーム感を感じて嬉しい気持ちになる。
いやあ、ジャニーズを差し置いてピンマイクを持ち、ギンギラの衣装を着る永島敬三、とてもズルかった。
あと、こんなに楽しそうにお芝居をしている敬三さんを久々通り越して初めて見たので(※普段が決してつまらなそうにしている訳ではないのだが永島スタイルによりそういう印象があるという話)、その点ではかなり困惑してしまった。物凄く楽しそうだった。
前アナ・後アナだけでなくさいたまスペシャルカーテンコールも仕切る敬三さんは物理的にもとにかく輝いていた。敬三さん、本当にマルチプレーヤーだよなあ。


出演者全員、誰も憎むべき人がいないどころか、全員愛おしいのが素晴らしかった。
女性陣は「男性脚本家が書いた女性像」というか、ロマンに溢れている「こんな女あんまり現実にいないだろ」感が、逆にとてもよかった。男の夢が色々と詰まっていた。
男女共に全員ダメ人間。全員どこか間違ってる。でも、「それでいい」のだ。それがとても素敵でたまらない。
私もたまらないダメ人間で、自分の事しか考えられないし、けれど誰かを傷つけて生きて行きたいわけではない。それでも自分のやりたい事は貫きたくて、その結果どうしても誰かを傷つけてしまったり、上手く行かない事もある。たまにズルもしちゃう、人に迷惑をかけちゃう。
そんな私みたいな人たちが、何の運命か出会って、ちょっと揉めたり、意気投合しながら最終的に一つの目標に向かって走る。応援する。駆け抜ける。

この舞台を観た日の私は、とにかく「誰かに背中を押して欲しかった」。なので、この舞台が刺さりすぎて、ラスト30分くらい気がついたらずっと泣き通していた。
何か強大なメッセージがあった訳ではないのだが、「それでいいんだよ」「大丈夫だよ」「頑張ってね」と、とにかく熱いエールを送られた気持ちになって、そもそもまず「この舞台は今の私に必要だ」と思ったその直感が間違っていなかった事に対しても自信が湧いた。
私はこれでいいんだ、自分の道を頑張っていこう、と、いっぱいの背中を押されて客席を立つと、同じように幸せな気持ちで嬉しそうな顔をして会場を後にするお客さんたちでいっぱいだった。
客層は若い女性が多くて、けれど老若男女、さまざまな理由でこの演目を観に来たであろう人たちが、大体皆「嬉しそう」に劇場を出て行く。その姿がまた素敵で、更に背中を押されてしまった。
「楽しい」「幸せ」「嬉しい」という感情は、こんなに沢山の人と共感出来るんだなあ、劇場って平和な世界だ。そうだね、戦争の反対はクリエイトだもんね、みたいな気持ちになってしまった。
さいたま公演は決して満席とは言えない状況だったが、「満足度」で考えたら物凄い数字だったのではないだろうか。
これから東京公演、地方公演と続くうちに、沢山の人の目に留まる作品になればいいなと思う。


それにしても競馬がめちゃくちゃやりたくなる舞台だった。
私はどうしようもないギャンブル廃人というか、「お金が好き」なのと「尋常ではない負けず嫌い」なのでギャンブルに手を出したら本当にヤバイ人類であり、一時期色々やらかした結果、現世ではギャンブル禁止令を出しているのだが、それでも競馬にいきた過ぎてどうしたらいいのかよくわからなくなったので座禅でも組んでこの気持ちを落ち着けたい。写経がいいだろうか。
「この作品を観る」というギャンブルにおいては、大勝利を収めて定価8000円の掛け金がお値段を決められない位の私の経験という万馬券になって返ってきたので、とりあえず競馬は我慢する方向にする。
上手い事を言っているようで、絶妙にまったく何も言えてなのだがしまらなかったのでこれで。


勇気と愛とロマンがつまった、わくわくする舞台。
ゴールデンウィーク以降、お時間がある方は是非「ダメ人間でもいい」事を教わりに、背中を押されに、何よりこの作品に出会いに、劇場に行ってみて欲しい。